岡山県の県北、勝田郡奈義町にある「奈義町現代美術館」通称「Nagi MOCA」をご存知ですか?
建築家・磯崎新氏の設計で、3組のアーティストの作品が建物と一体化するように建てられた珍しい町立美術館で、開館はいまから約30年前の1994年。今回は岡山県北のプレスツアーに参加し、昨今のアートブームでいままた注目を浴びている「Nagi MOCA」で、不思議なアート体験をしてきました。
見て、触って、聞いて……。全身の感覚を使って鑑賞する初めての体験
「大地」「太陽」「月」の3つの展示室からなるNagi MOCA 。入って最初の「大地」の展示室では、宮脇愛子作の『うつろひ』に出会えます。曲線を描いて交差するワイヤーが、水に写るさまや風に揺れる様子で、奈義町の自然や季節の移り変わりを感じることができます。また、作品のなかに入って直接触れるという、新鮮な体験も!
「太陽」の展示室は、美術館を外から見たときに建物横にドーンと鎮座する、円筒状の建物の中。荒川修作+マドリン・ギンズ作『遍在の場・奈義の龍安寺・建築する身体』。天地・左右が反転しており、床に設置されている鉄棒・シーソーが対照的に天井にも。壁は京都龍安寺の石庭を模したもので、正面に見える「膜」は真南を向いており、太陽の光によって陰影が変化。曲線を描いた床面は不安定な歩みになり、全身でこの空間の不思議な雰囲気を感じることができます。シーソーに乗って上下すると天井がさらに近く感じ、どちらが天で地なのか、一瞬わからなくなるような感覚も受けました……。
「月」の展示室には岡崎和郎作『HISASHI – 補遺するもの』が。三日月型の空間にオブジェが配置されたこちらの展示室は、音がよく反響します。 “やすらぎの場所”とされており、ベンチに座って反響する音に耳を傾ければ、いつもとは違った癒やしを体験することができるかも?
併設の奈義町立図書館も、美術館と同じく磯崎新氏の建築。図書館というと、本が傷まないように採光をおさえることが多いのですが、本の読みやすさや過ごしやすさを優先し、たっぷり光が差し込むようにしたところが面白い。開放的で気持ちのいい空間です。
またこちらの図書館、世界的にも有名な漫画『NARUTO–ナルト』の作者である、奈義町出身の岸本斉史先生も来ていたとか……! 窓から太陽の展示室が眺められる、こちらの席に座ったと言われているそう。同じ席に座ってじっくり考えを巡らせてみれば、なにかよいアイデアが生まれそうな予感……。
・奈義町現代美術館
住所:岡山県勝田郡奈義町豊沢441
開館時間:9:30〜17:00(最終入館16:30)
休館日:月曜、祝日の翌日
料金:一般・大学生700円、高校生500円、小・中学生300円
https://www.town.nagi.okayama.jp/moca/
奈義町でランチなら「奈義和牛」or「奈義黒豚」はいかが?
奈義町現代美術館近くのビストロ風の洋食食堂「Café&Deli CHURRO(カフェアンドデリ チュロ)」では、名産の奈義和牛や奈義黒豚、地元野菜を使ったフレンチベースのランチがいただけます。奈義和牛のハンバーグは“ステーキハッシュ”というフランス式ハンバーグをもとにしており、粗挽きのお肉がとってもジューシー。
肉の甘みが強いという奈義黒豚。煮込みはとっても柔らかく、箸でも切れてしまうほど。地元野菜をふんだんに使ったキッシュやサラダなどの前菜、スープ、デザート、ドリンクがついたセットがおすすめです。肉の甘みが強いという奈義黒豚。煮込みはとっても柔らかく、箸でも切れてしまうほど。地元野菜をふんだんに使ったキッシュやサラダなどの前菜、スープ、デザート、ドリンクがついたセットがおすすめです。
・Café&Deli CHURRO(カフェアンドデリ チュロ)
住所:岡山県勝田郡奈義町豊沢292-17
営業時間:ランチ11:30〜14:00、ディナー18:00〜21:00
定休日:木曜
https://www.instagram.com/cafe_deli_churro/?hl=ja
宿泊は、城下町の風情を残す津山で町家ステイ!
津山城の城下町として栄えてきた城東地区は、重要伝統的建造物群として保存されている地区。
昔ながらの町家やお屋敷が並ぶなかにひときわ大きく建つ国指定重要文化財に指定の建物「旧苅田酒造」、それに付随した町家4棟をリノベーションした宿泊施設が「城下小宿 糀や」です。
2階建てのA・B・Cの3棟がそれぞれ宿泊施設で、D棟は共有のラウンジスペース。部屋には広いキッチンとダイニングスペースがあり、地元の食材やグルメを買い込んで自由に食べることができます。また、お風呂は日本酒を湯船に注ぎ酒風呂として楽しむことが可能! ベッドルームが2つずつに、庭やテラスもあり、4〜6名でゆったり過ごせるので家族やグループにもぴったり。歴史的建造物に泊まり、ノスタルジックな時間を過ごして。
・城下小宿 糀や
住所:岡山県津山市林田町68
https://www.tsuyama-kojiya.com/
津山の夜は“牛肉”を食べないとはじまらない!?
津山といえば、肉食が禁止されていた明治以前より“養生食い(健康のために食べる)”として庶民が牛肉を食べていたという「肉食文化」が根付くまち。食べる部位や調理法のバリエが多く、耳慣れない名前の美味しい肉料理がたくさんあるんです。
写真の「干し肉」は、牛肉ブロックを干したもので、保存食として食べられていたそう。カットして表面をあぶったお肉は、固さはなくほどよい噛みごたえで旨みがたっぷり。お酒のつまみにしたら止まらない!
写真左「牛ぬた」は生の牛肉と豆腐を和えた白和え。生肉だけどマイルドな口当たり。右は「ヨメナカセ」という、心臓付近にある血管壁だそう。名前の由来は下処理がたいへんで嫁が泣く……など諸説あるそうですが、これが美味しい! エリンギのような厚みがあって柔らかい肉質で、あっさりとした味わい。
ほかにも、「牛えんがわ和風ステーキ」「ぼっけもんスペシャル丼」「ユッケ寿司」など、見ためのインパクトもすごい、個性的なメニューが目白押し。気になるものが多すぎて、一度の来店では飽き足らず、二度三度と足を運びたくなること間違いなし。
・炙り家 ぼっけもん
住所:岡山県津山市伏見町28-1
https://www.instagram.com/tsuyama_nikubito/
新鮮なアート鑑賞に、地元グルメや貴重な宿泊体験までできる、岡山県北エリア。次の旅の目的地にいかがでしょう。
◎協力/岡山県
店舗情報、商品情報は取材時のもので、記事をご覧になったタイミングで変更となっている可能性があります。