「町並み保存地区」に指定されている真庭市勝山の城下町は、白壁や格子窓のついた商家や民家、なまこ壁の蔵など伝統的な建物が立ち並ぶ、昔ながらの風情を残すまち。また、そんな城下町・勝山は、モダンなデザインの「のれん」が家々の軒先に揺れ、のれんアートのまちとしても有名。
今回は岡山県北のプレスツアーに参加し、勝山と、さらに北に足を伸ばし、大自然あふれる蒜山の魅力を体験してきました。
勝山のまちの「のれん」を製作する「ひのき草木染織工房」で染め体験!
東京の美大で染織を学んだ加納容子さんが開いた「ひのき草木染織工房」。もとは約260年前から続く酒蔵の実家で、その店先にかかげた「のれん」がきっかけで、勝山のまち全体に広がることになりました。いまは酒蔵をリノベしたこちらの工房で、まちののれん製作を約28年も続けているそう。のれんは、商店でも民家でも、やりたいと手を挙げた各家々の思いを聞き、1点1点オーダーメイドで仕上げます。だいたい3年ごとに交換するというが、一度掲げると辞める人は少なく、どんどん増えているそう! さらに、毎回デザインを変えたいと希望する人も多いとか。伝統的な町並みに、のれんアートのモダンさや遊び心が溶け込み、住んでいる人たちのいきいきとした暮らしが感じられる、唯一無二のまちです。
そんなひのき草木染織工房では、絞り染め体験ができます。今回はハンカチのベンガラ染めに挑戦。絞り染めとは、生地の一部を糸やゴムで強くしばるなどして染料が染み込まない部分をつくり、模様を作り出す技法。ベンガラ染めは、土の成分であるベンガラを使って少量の水で染めることができる、エコな染め方です。
思い思いにハンカチの一部を糸やゴムを使って縛ったら、水につけ、染料の入った水で揉み込む。
乾かせば完成という、約60分間の体験で、オリジナルハンカチができあがりました。中央に家紋のような円、四隅には絞りを入れてみたら、まるで富士山のようなデザインになりました笑。
工房にはすぐに持って帰れる店舗販売ののれんや、そのほかグッズもいっぱいで、買い物も楽しめます。草木染め体験、のれんアート巡り、どちらも体験すれば、より勝山のまちを深く知ることができます。
・ひのき草木染織工房
住所:岡山県真庭市勝山193
営業時間:10:00〜17:00
定休日:水曜
料金:絞り染め体験 2,000円〜(2名以上、3日前まで要予約)
お土産は御前酒蔵元・辻本店で、こだわりの地酒を!
かつて美作勝山藩のお殿様の御膳にあがっていたことが名前の由来の「御前酒」を造る、造り酒屋の辻本店。寒冷な気候や良質な米と水という酒造りに恵まれた土地で、雄町米という栽培が難しい原生種の米のみを使って全商品を造る全国唯一の酒蔵です。また、造り方も「菩提もと造り」という、昔ながらの方法をいまの時代に合わせた独自の方法。こだわりが満載なんです!
代表的な「御前酒 菩提もと 貴醸酒」と、「菩提もと にごり酒」をり試飲させていただきました。今回ご対応いただいたのは、イケメンとも噂の蔵元・辻 総一郎さん。また、ご姉弟の麻衣子さんも岡山県初の女性杜氏としても活躍されています。
「貴醸酒」は、水の代わりに日本酒で仕込む、一般的に甘みのあるデザート酒と呼ばれるお酒。しかしこちらの貴醸酒は甘酸っぱさがあり、食事と一緒にも楽しめます。「菩提もと にごり酒」は乳酸菌のまろやかな味わいとともに、爽快感もあり。どちらも美味しい!
蔵の向かいには直営ショップ&お食事処「NISHIKURA」もあり、気軽に御前酒を楽しめます。
・御前酒蔵元・辻本店
住所:岡山県真庭市勝山116
蒜山の牧場で、ソフトクリームやチーズフォンデュを堪能!
縦に長い真庭市、最北の鳥取県の境となる蒜山エリアは、高原地帯で自然豊か。「ひるぜんジャージーランド」は、山の斜面を利用した広大な牧場と、レストランやショップ、ドッグランや乗馬ができるパークが併設した施設。牧場では放牧が行われており、のどかな風景が広がります。
レストランでランチするなら、放牧しているジャージー牛の自家製ゴーダチーズを使ったチーズフォンデュ! 蒜山コース(1人前2,550円/2人前から)は、パンのほか、蒜山産の野菜の盛り合わせもセット。濃厚で風味豊かなチーズをたっぷりからめて食べるのが美味しい。
また、ぜひ食べてほしいのが、蒜山ジャージーのミルク100%のプレミアムソフトクリーム(380円)。“ゴールデンミルク”とも呼ばれるジャージー牛のミルクはうっすら黄金色。100%だからこその、濃厚リッチでなめらかなソフトクリームはここでしか味わえません。雄大な大自然を眺めながら食べると、また美味しさもひとしお。
・ひるぜんジャージーランド
住所:岡山県真庭市蒜山中福田956-222
営業時間:3月下旬〜11月 9:30〜16:30、12月〜3月中旬 10:00〜16:00
定休日:3〜12月 無休、1月1日、1・2月の火・水曜
http://jerseyland.hiruraku.com/
アート鑑賞も楽しめる「GREENable HIRUZEN」はぜひ立ち寄りたい!
「GREENabel HIRUZEN」は、ミュージアム、ストア、レンタサイクルなどが一緒になった、観光文化発信拠点施設。パッと目を引く建築物は、真庭市の木材を使って東京・晴海に建築された隈研吾氏の「CLT PARK HARUMI」が移築されたもの。蒜山の葉と森がイメージされており、中に入るとほどよく太陽の光がさえぎられ、木漏れ日のような優しい日差しとともに、心地よい風が通り抜けます。
サイクリングセンターは、存在感のあるかやぶきの屋根が素敵。アメリカの自転車ブランド・トレック社の最新e-bikeをレンタルすることができます。
ストアとミュージアムが一緒になったビジターセンター。ストアではGREENabel HIRUZENのコンセプト、持続可能なライフスタイルを提案するブランドのグッズが並んでいます。ミュージアムでは隈研吾氏の建築模型や、いま活躍するアーティストたちの現代アートが鑑賞できます。ちょっと立ち寄れば、蒜山の魅力が何倍にも感じられるはず。
真庭のシシ/淀川テクニック
パビリオンの隣には、市内から出たごみを材料に制作された「真庭のシシ」(淀川テクニック作)も。つぶらな瞳が可愛い……。
・GREENale HIRUZEN
住所:岡山県真庭市蒜山上福田1205-220
営業時間:9:00〜17:00(最終入館16:45)
休館日:水曜(祝日の場合は翌平日)
https://greenable-hiruzen.co.jp/
ひるぜんワイナリーでとっておきの岡山産ワインをお土産に
ひるぜんワイナリーは、難しいとされあまりつくられていない、日本固有種のヤマブドウのワインをメインにつくっているワイナリー。
ヤマブドウは酸っぱいのが一般的ですが、岡山では糖度が高く濃い味わいに育つそう。最初は村おこしでワインをつくりはじめたそうですが、いまではこんなに種類が! ヤマブドウらしい野趣あふれるものから、軽やかな口当たりのものまで、ここでしか出会えないワインばかり。気になるものは試飲させてもらうことも可能(種類により有料もあり)。カフェも併設されているので、おつまみとともにワインを味わうのもいいですよ。
お酒が苦手な人は、ヤマブドウの果汁入り炭酸ジュース「風のシルフ」がおすすめ! 控えめの甘さで、ヤマブドウの爽やかな風味を感じることができます。子どもにも人気の商品だとか。
・ひるぜんワイナリー
住所:岡山県真庭市蒜山上福田1205-32
営業時間:4〜11月 10:00〜17:00、12〜3月 10:00〜16:00
定休日:火曜(冬季のみ、祝日の場合は翌平日)
少し足を伸ばせば、伝統的な町並みも、大自然も、どちらも満喫できる岡山県北エリアへの旅。ぜひ訪れてみてください。
◎協力/岡山県
店舗情報、商品情報は取材時のもので、記事をご覧になったタイミングで変更となっている可能性があります。