東京・成田空港から直行便を使えば約7時間でたどり着く、インドネシア屈指のビーチリゾート地のバリ島。「海がキレイでサーフィンがしやすい」「ご飯が美味しい」「物価が安くて買い物やスパ体験が楽しい」などバリ島を訪れる理由はさまざまですが、リピーターはやはりバリ島に根付く独自の文化に魅了されています。今回はバリ島の文化や伝統芸能も紹介しながら、“音”に着目することでより思い出深くなる旅の新提案をご紹介します。
バリ・ヒンドゥーが独自の文化を育んだ “神々が住まう島”
インドネシアといえばイスラム教徒、マレー系の住民が大半を占めますが、ここバリ島はヒンドゥー教と土着信仰が融合したバリ・ヒンドゥー教が信仰され、独自の文化がいまなお受け継がれています。多くの神々を信仰するバリ島は「プラウ・デワタ(神々の住む島)」とも呼ばれており、歴史ある寺院、伝統舞踊や伝統音楽からもバリ島独自の文化を知ることができます。
炎を囲む大勢の男性によって「チャチャチャ!」という声のリズムが奏でられるケチャは、バリ島を代表する伝統舞踊の一つです。ほとんどの場合、ラーマヤナ叙事詩をモチーフにした舞踊劇とともに演じられます。夕刻にウルワツ寺院で行われるケチャが特に有名です。
一方、女性だけで舞うのが、バリ王国時代に宮廷内で演じられていたレゴンです。比較的テンポの速い楽曲に合わせ、大きく見開いた目を左右に動かす仕草などが印象的で、優雅で華やかな舞踊となっています。宗教儀礼を基に誕生したバリの舞踊には、このほかにも森に住む想像上の聖獣をモチーフにしたバロン、歓迎の舞のタリ・プニャンブタンなどさまざまあり、多くが神に捧げることを目的とされて来ました。しかし、近年では観光目的で西欧風やポリネシアン風にアレンジされた、コンテンポラリーダンスも登場し、さまざまなスタイルの舞踊が広がりつつあります。
ユネスコに登録されたバリ島の打楽器アンサンブル「ガムラン」を鑑賞&体験
伝統舞踊に合わせて演奏されるのが「青銅の交響楽」とも言われるインドネシアの打楽器アンサンブル「ガムラン」です。2021年にユネスコ無形文化遺産にも登録されたガムランは、ジャワ島、バリ島などエリアによって使用される楽器や楽曲、合わせて上演される舞踊なども異なります。今回はバリ島の伝統舞踊とガムランを深掘りすべく「Mekar Bhuana Gamelan & Dance Centre」を訪れました。
ここでは伝統舞踊とガムランを鑑賞できるだけでなく、舞踊や演奏の指導を受け参加者も体験できるワークショップがあり、個人でもカップルでも、家族でもグループでも参加することができます(カップルの場合2時間合計150USD)。ワークショップの冒頭ではガムランで使用される楽器について、スライドと実際の楽器の演奏を用いて説明がありました。
バリ島で「アンクルン」といえば青銅製鍵盤楽器を指します。木製のマレットで鍵盤を叩き、ガムランの主旋律を奏でる楽器です。「Mekar Bhuana」には推定60〜200年前の「チャルン」「ガンサ・カンティラン」など3つのタイプのヴィンテージアンクルンが揃っており、合奏することで重奏的なメロディーを響かせることができます。
ワークショップではガムランに敬意を示すため、蝋を使ったろうけつ染めで作られたインドネシア伝統衣装のバティックを、巻きスカートのように着用して演奏に参加します。今回我々は「カジャラ」と呼ばれる木魚のような楽器とバリ式の銅鑼がリズム隊としてテンポをキープし、「アンクルン」を演奏しました。シンプルな楽器のため楽器初心者でも楽しめます。音の止め方や響かせ方を変えることで神秘的な音を発するので、ついついその音色に夢中になってしまうはず。
このほかにも「Mekar Bhuana」では、米農家がカエルの鳴き声に真似て作ったという竹琴「ゲンゴン」、太鼓の「ゴン・グデ」などさまざまなガムランに用いられる楽器を実際に見て、触れて、演奏することができます。
・Mekar Bhuana Gamelan & Dance Centre
住所:Jl. Gandapura III No. 501X Kesiman – Kertalangu Denpasar 80237 Bali – Indonesia
TEL:081 246 877 087 / 081 999 191 104 (English speaking)
HP:https://www.balimusicanddance.com/
心も身体もととのう、バリ島のメディテーション・サウンドヒーリング体験
忙しい日々で疲れた身体を癒やすならマッサージやスパが定番ですが、頭や心までととのえたいならバリ島独自のメディテーション・サウンドヒーリング体験もおすすめです。バリ島ウブドにある「SERENDIPITY SOUNDS」では、中国の五行とチャクラの教えを現代の身体科学と組み合わせ、クリスタルボウルやバリ島独自の楽器を複数使ったサウンドヒーリングを受けることができます。
参加者はマットレスに仰向けになり、アイマスクを着用して、セラピストの声や奏でられる音に耳を傾け、音に没入していきます。小鳥のさえずりのような笛の音や太鼓の鼓動、銅鑼の振動や、波のような音などさまざまな音波が、私たちの体のさまざまな部分を最適な振動にととのえてくれるかのようです。忙しい日々では意識することのなかった心臓の鼓動や呼吸にも思いを馳せ、五感が研ぎ澄まされていくようなリフレッシュ体験でした。
ちなみに今回私は「SERENDIPITY SOUNDS」の出張編として、「Wバリ スミニャック」で体験しました。数ヶ月に一度不定期でホテル開催されるサウンドヒーリング体験は、宿泊者は無料で、外来の方も150,000ルピアで体験できます。
・SERENDIPITY SOUNDS
HP:https://www.serendipitysounds.com/
ビーチフロントでインドネシアの“音”に包まれる特別な夜
ガムランの調、スコールの雨音、クラクションを鳴らしながら行き交うバイクや車の音、活火山の躍動……。これらインドネシアのさまざまな音で、旅情を誘うMVがあります。それが、オランダ・アムステルダムを拠点とするマルチ奏者で、電子音楽の作曲家であるParallelle(パラレル)とマリオット・インターナショナルがコラボレーションした「A Day in Java」です。
このコラボレーションの一環として2023年5月、音楽にフォーカスしたMarriott Bonvoy Moments(マリオット ボンヴォイ モーメンツ)が「Wバリ スミニャック」で開催されました。Marriott Bonvoy Momentsとは、コンサートやグルメ体験、人気のスポーツイベントなどに参加できるMarriott Bonvoy会員限定のプログラムのこと。定額制またはオークション制の体験プログラムを、Marriott Bonvoyポイントと交換することで参加することができます。
今回のMarriott Bonvoy Momentsでは、Parallelleのふたりから直接世界の文化にインスパイアされた音楽のプロデュース方法を学び、音楽トラックをミックスする体験が行われました。
同日の夜には、ビーチフロントバーの「WOOBAR BALI」にて開催されたParallelleがヘッドライナーを務めるDissolve Weekendフェスティバルに招かれました。バリ島らしいワンハンドフードやドリンクに舌鼓を打ち、Parallelleがインドネシアをはじめ世界各地で収集した音のキュレーションを、波の音や潮の香りと共に楽しむ一夜。五感を満たす、忘れられない夜になりました。
ちなみに、Marriott Bonvoyはこの夏、サマーソニック東京のメインスポンサーを務め、国内で展開しているアロフトやモクシ―などのホテルでも、複数の没入型音楽イベントを開催予定です。気になる方はそちらもチェックしてみてください。
絶景サンセットを拝めるビーチフロントホテル「Wバリ スミニャック」
今回滞在した「Wバリ スミニャック」は、空港から車で約30分の洗練されたブティックやショップも立ち並ぶスミニャックエリアに位置するホテルです。サンセットで有名なクロボカン・ビーチの一等地に構え、メインビルディングのエスケープ棟と、ガーデンエリアに建つヴィラ棟の2タイプに分かれています。
エスケープ棟の一部のバルコニーからは、インド洋を望むことができます。バリの棚田をイメージしたプールは広々としていて、子供向けの水深浅めのエリアも一部設けられており、場所を選べばゆったり大人な時間を過ごせるのもありがたいところです。
赤道よりも少し南に位置し熱帯性気候で、5〜10月が乾季で、11〜4月が雨季のバリ島。日本の夏休みやシルバーウィークは、観光にもってこいのベストシーズンとなります。時差も日本のマイナス1時間とジェットラグに悩まされる心配もないので、アフターコロナのならし旅にいかがでしょうか?
・「Wバリ スミニャック」
住所:Kerobokan, Jl. Petitenget, Seminyak, Kabupaten Badung, Bali 80361
HP:https://www.marriott.co.jp/hotels/travel/dpswh-w-bali-seminyak/
◎取材&撮影&文/中森りほ
価格は税込です。店舗情報、商品情報は取材時のもので、記事をご覧になったタイミングで変更となっている可能性があります。
記事は取材時(2023年5月28日)時点の情報のため、最新の入国規制などについては各国政府発表の公式情報をご覧ください。