2024.08.30

長良川の清流に薬草文化……岐阜の豊かな自然で身も心も癒やされる旅【週末“非日常”TRIP】

日本のほぼ中央に位置し、周囲を7つの県に囲まれた岐阜県。白川郷や下呂温泉といった全国的にメジャーな観光地以外にも魅力的なスポットがあるのをご存知ですか? 日本三大清流と呼ばれる長良川を中心とした自然や食、文化が根付いており、清流の国とも呼ばれています。今回メディアツアーに参加し、郡上市から岐阜市へと南下しながら「清流の国ぎふ」の魅力を探してきました。

 

 

清流・長良川を巡る旅はここから「阿弥陀ヶ滝」

高知県の四万十川、静岡県の柿田川と並び、「日本三大清流」と呼ばれる長良川。岐阜県北西部から伊勢湾へと流れる全長166kmに及ぶ流域には、約86万人の人々が川とともにある暮らしを営み、多様な川文化が根付いています。水は美しく透き通り、手を入れると冷たくて気持ち良い……!

 

山道を10分程歩くと、長良川の源流付近に位置する阿弥陀ヶ滝(あみだがたき)に到着。歩いている最中は暑かったのですが、滝周辺はひんやりとした空気に包まれています。落差は約60m! 東海一の名瀑であり、大迫力の水音と水しぶきが圧巻です。滝壺の周りで水遊びや写真撮影を楽しむ方もたくさんいました。

 

・阿弥陀ヶ滝
住所:岐阜県郡上市白鳥町前谷

 

 

「囲炉裏のあじわい ごとく」で岐阜の郷土料理、朴葉みそを堪能

岐阜の飛騨・高山地域の郷土料理、朴葉味噌。朴葉の上に自家製のこうじ味噌、その上に豆腐やこんにゃく、きのこやネギなどの食材が乗っています。朴葉の上で食材を混ぜながら焼いていき、全体に火が通ったら完成です。

 

ご飯や副菜もセットになった「朴葉みそ定食」(1,870円)。味噌の甘じょっぱい味わいが食材に絡み、ご飯が進みます。お店の裏には長良川が流れており、景色を楽しみながら食事をいただけます。

 

・囲炉裏のあじわい ごとく
住所:岐阜県郡上市白鳥町向小駄良991-16
TEL:0575-82-5139
営業時間:11:30〜14:30、17:00〜19:30
定休日:木曜日、月曜日の夜
URL:https://5toku.com/

 

 

鮎釣りやつかみ取りも体験できる「清流長良川 あゆパーク」

長良川のシンボルでもある鮎。初夏に鮎漁が解禁すると、地元の方々が鮎釣りをしている様子を目にします。「清流長良川 あゆパーク」では、世界農業遺産「清流長良川の鮎」に関する情報発信を行っており、実際に鮎釣りを体験したり、映像を見たりして学ぶことができます。

 

鮎の漁法は川の地形を活かし、友釣り、手投網、ヤナ、鵜飼などさまざま。

 

鮎は藻類のついた石の周りになわばりをつくり、他の鮎を追い払って良い藻を独り占めする習性があります。友釣りではその習性を利用し、生きた鮎を釣り糸の先につけておとりにして、川を泳ぐ鮎が体当たりしてきたところをもうひとつの釣り針でひっかけます。釣り竿は約8mと長く、コツを掴むのが難しいですが、慣れている人は1時間で20匹ほど釣るそうです。

 

施設内にある「多面シアター」では、源流から下流へ旅をしながら長良川システムと呼ばれる、清流・鮎・人々の営みのつながりを体感できます。アトラクションのような臨場感なので、ぜひ体験してみて。

 

・清流長良川 あゆパーク
住所:岐阜県郡上市白鳥町長滝字下川原420-10
TEL:0575-85-2115
鮎の友釣り体験:4,000円/1名(10名以上から)
URL:https://ayupark.jp/

 

清流と歴史を感じる「郡上八幡城下町」

長良川の上流に位置し、支流である吉田川が南北に広がり街中をくまなく水路が巡る、名水のまち「郡上八幡」。山の上にそびえ立つ「郡上八幡城」の城下町として栄え、国の重要伝統的建造物郡保存地区にも選定されています。ノスタルジックな町並みの中に、おしゃれなカフェやクラフトビール店なども点在。水木休みが多いので、事前に調べてから散策してみてください。

 

夏には30夜以上開催される郡上おどりが有名で、観光地としても知られています。取材した日も郡上おどりが開催されており、町の人々が浴衣を着て楽しそうに踊っているのが印象的でした。

 

・郡上八幡城下町
住所:岐阜県郡上市八幡町

 

・郡上おどり
開催期間:2024年7月13日〜9月7日
URL:http://www.gujohachiman.com/kanko/odori.html

 

 

モネの代表作『睡蓮』のような「名もなき池(通称:モネの池)」

郡上八幡から南東に向かうこと約35分、関市の根道神社境内には、フランスの画家・クロード・モネの名画『睡蓮』にそっくりとSNSで話題になった池があります。

 

5月頃から10月は睡蓮の華が咲き、池に入る湧き水の量も増えて透明度が増すので、まるで絵画のような光景が広がります。睡蓮の華が咲きやすい11時頃、太陽の光が池を照らすタイミングでの撮影がおすすめです。雨が降った後は池が濁ってしまうので、天気予報を確認しながら訪れてみて。

 

・名もなき池(通称:モネの池)
住所:岐阜県関市板取448

 

 

清流のほとりで鮎料理を堪能「板取川 洞戸観光ヤナ」

鮎の生態や漁法を学んだら、やっぱり鮎を食べてみたいですよね。生鮎を自分で焼きながら食べることのできるのが「板取川 洞戸観光ヤナ」。

 

鮎の塩焼き2匹、煮付け1匹、味噌を付けて焼く魚田1匹、一夜干しと雑炊がつく「Aコース」(3,300円)で鮎尽くしを堪能しました。その場で締めた鮮度の高い鮎を使っているというだけあって、臭みがまったくなく爽やかでほのかに甘い香りがします。全部で5匹もの鮎を食べましたが、美味しすぎてペロリ。

 

食後は、川の中に足場を組んで鮎を捕まえるヤナ場の見学や川遊びも楽しめます。

 

・板取川 洞戸観光ヤナ
住所:岐阜県関市洞戸小坂1712
TEL:0120-117-287
営業期間:2024年4月21日〜11月中旬
営業時間:4月〜10月10:00〜17:00(L.O. 16:00)、11月11:00〜15:00(L.O. 14:00)
URL:https://www.horado-yana.com/

 

 

美しい水から生まれる和紙にも注目!「Warabi Paper Company」の工房見学

日本三大和紙のひとつ、美濃和紙がつくられている美濃市。長良川中流と板取川が交わるエリアで、1300年以上前から和紙がつくられてきました。

 

「Warabi Paper Company」の工房では、原料となる楮(こうぞ)の木の皮を剥くところから始まり、ほとんどを手作業で行います。原材料を簀桁(すけた)と呼ばれる道具ですくい、縦横交互に揺すって薄い手漉き和紙をつくる体験もできます。

 

敷地内には古民家を改装した宿泊施設「ワラビーランド」も併設。床や壁、カーテンに至るまで様々な和紙を使用した客室は圧巻です。

 

・Warabi Paper Company
住所:岐阜県美濃市蕨生726
URL:https://warabipapercompany.com/
※工房見学や体験は事前にオンラインで問い合わせが必要

 

 

一度は観たい「ぎふ長良川の鵜飼」

岐阜の夏の風物詩として知られる長良川鵜飼。鵜飼とは、鵜匠と呼ばれる漁師が鵜を巧みに操って川にいる鮎を獲る伝統漁法で、1300年以上の歴史を誇ります。鵜匠は6人で、代々世襲で親から子へとその技が受け継がれており、常日頃から鵜と一緒に生活をしています。

 

鵜飼観覧船では、最初に陸地で鵜飼の説明を受け観覧船へと乗り込みます。辺りが暗くなり鵜飼の始まりを告げる花火が上がると、スタート。篝火を焚いた鵜舟がゆっくりと現れ、鵜匠の掛け声のもと、一斉に鵜が鮎を捉えます。鵜舟1隻と並走して川を下るので、臨場感もたっぷり。

 

クライマックスは鵜舟が一列になり、一斉に鮎を浅瀬に追い込む「総がらみ」。鵜匠によって漁の仕方も少しずつ違うので、見比べながら鑑賞するのも楽しいです。鮎漁の中でも鵜飼で穫れた鮎は貴重で、くちばしの痕がついていることから「歯型の鮎」と呼ばれて、料亭などで提供されるのだそう。

 

・ぎふ長良川の鵜飼
住所:岐阜県岐阜市湊町1-2
TEL:058-262-0104
開催期間:5月11日〜10月15日
※鵜飼休み(9月17日)および増水等により鵜飼観覧を実施できない場合欠航
URL:https://www.ukai-gifucity.jp/

 

 

古くから受け継がれる薬草文化。手軽に試せるお土産なども

岐阜県揖斐川(いびがわ)町春日地域にある伊吹山は、古くから薬草の宝庫として知られていて、織田信長が薬草園を開く許可を与えたという伝説があります。暮らしに薬草の知恵と文化が受け継がれており、薬草を使ったお茶や入浴剤なども展開しています。

 

地域観光の案内所兼カフェ「はるひの案内所」では、薬草のブレンド茶体験や薬草を使ったぎふコーラの販売などを行っており、気軽に薬草体験ができます。

 

・はるひの案内所
住所:揖斐郡揖斐川町春日六合3068-1
営業時間:10:00〜16:00
定休日:火曜日
URL:https://www.instagram.com/haruhino_kasuga/

 

 

明治22年創業の「揖斐菓匠庵 みわ屋」では、和菓子と洋菓子それぞれの職人が地産地消の素材を使用したお菓子づくりをしています。伊吹山で栽培されているトウキ、クロモジ、ヨモギなどの薬草を使ったお菓子づくりにも挑戦。薬草というと苦いかと思いますが、どれも爽やかで食べやすい味わいです。

 

・揖斐菓匠庵 みわ屋
住所:岐阜県揖斐郡揖斐川町三輪925-9
TEL:0585−22−0305
営業時間:9:00〜18:00
定休日:木曜日
URL:https://ibi-miwaya.jp/

 

 

薬草を使ったお風呂や食事を楽しめる「かすがモリモリ村リフレッシュ館」

地元産の薬草をふんだんに使った薬草風呂のある入浴施設とレストランやお土産コーナーなどが併設された「かすがモリモリ村リフレッシュ館」。

 

レストランで提供している「薬膳定食」(1,680円)は、天ぷらやサワアザミのおから和えなど、地元産の薬草を料理に取り入れています。品数も多く食べごたえもあるので、入浴後に元気チャージしたいときに良さそうです。お土産コーナーには春日茶、薬草を使った入浴剤なども販売されています。

 

・かすがモリモリ村リフレッシュ館
住所:岐阜県揖斐郡揖斐川町春日六合3429
TEL:0585-58-0001
営業時間:10:00〜21:00(最終受付 20:30)
定休日:水曜日
URL:https://morimorimura.com/

 

 

岐阜のマチュピチュと呼ばれる「天空の遊歩道」

古くからお茶栽培が盛んな揖斐川町春日上ヶ流(かみがれ)地区には、標高300m程の山の中腹から山頂にかけて一面に広がる茶畑があります。南米ペルーのマチュピチュのような高山で、やぶきた茶と古来茶を栽培していることから「岐阜のマチュピチュ」と呼ばれているのだそう。

 

絶景ポイントがあるのは徒歩で約20分の場所。遊歩道を歩いていきますが、一部登山道のような場所も通るので、歩きやすい靴や服装で向かうのがおすすめ。頑張って登った場所から見る景色は感動すること間違いなしです。

 

・天空の遊歩道
住所:岐阜県揖斐郡揖斐川町春日六合

 

東京から新幹線を経由し約3時間30分、大阪からも約3時間で到着する岐阜県。長良川を中心とした大自然に触れて癒やされ、鮎や薬草を使用した食事で元気をチャージするウェルネスな旅はいかがでしょうか。まだ暑い日々が続きますが、岐阜の清流で涼んでみては。

 

Special Thanks / 岐阜県
Photo&Text / Kato Ayana

店舗情報、商品情報は取材時のもので、記事をご覧になったタイミングで変更となっている可能性があります。

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GO! BEAMS! 百田夏菜子(ももいろクローバーZ) 原宿散策はビームスから。

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