2024.06.07

船のなかで旅の楽しみがすべて叶う!?「クイーン・エリザベス」オーストラリアを巡るクルーズ旅をしてみた!前編【週末“非日常”TRIP】

英国女王の名を冠するイギリスの客船「クイーン・エリザベス」。いわゆる豪華客船と呼ばれる船で行くクルーズ旅は、なかなかハードルが高いと思いがちだけど……実はあなたが知らないだけかも!? 体験してみれば、まさに“非日常”な時間を味わえ、そして“お得かも”と思えるクルーズ旅の魅力を、プレスツアーに参加して実感してきました!

前・後編でお届けします。

 

クイーン・エリザベスはイギリスのクルーズ会社キュナード・ラインの客船で、英国女王の名を冠した世界で最も有名なクルーズ船と言われています。1940年就航と歴史があり、今のクイーン・エリザベスは3代目。乗客定員数は2,081名、さらに乗組員が980名も乗船する大型船で、全長294m、12階建てのまさに動くラグジュアリーホテル。レストランやバー以外にもラウンジやシアター、プールにフィットネスルームにスパ、そしてカジノまでさまざまな設備を備えた洋上のアミューズメントでもあり、目的地へ向かうための移動手段ではなく、船での滞在時間を楽しめるのがクルーズ旅の醍醐味とのことですが……。クルーズ旅初体験の筆者が実際に体験して感じたこと、勘違いしていて驚いたことなど、リアルレポート。

 

乗船後、まずすぐに体験するのは避難訓練!?

プレスツアーで今回、参加したのは、オーストラリアのシドニー発着の、メルボルン、タスマニア島を巡る5泊6日のショートクルーズ。シドニーに前泊し、チェックイン指定時間の13時にターミナルでクルーズIDカードをもらって乗船。まずはお部屋に入りましたが、思ったよりも広い! ダブルベッドにソファもデスクもあり、デスクにはコンセントもしっかりあり、PC作業もまったく問題なし。そしてバルコニーつきで常に海が眺められます。冷蔵庫にはスパークリングワインが1本入っており、まずはバルコニーで海を見ながらグラスを傾けるのもよさそう。

 

お風呂はスタンダードなクラスの客室ではシャワールームのみですが、ペンハリガンのアメニティが嬉しい! いい香りすぎて、6日間は手持ちを使わず、こちらのハンド&ボディローションをヘビロテしてしまいました。

ちなみにヘアケアはシャンプーのみで、お部屋に入ったあとすぐに挨拶に来てくれた客室係のスタッフの方にお願いしたら、同じくペンハリガンのトリートメントを用意してくれました。ツアー中の客室の担当スタッフは同じ方で、午前と夜の2回お部屋の清掃をしてくれました。

クイーン・エリザベスはイギリスの船だし、今回はオーストラリアでのツアーだったので、スタッフの方も乗客も外国の方がほとんどでしたが、日本語話者のスタッフの方もちゃんといるし、日本語メニューなども用意してくれているので、筆者のつたない英語でもなんとかツアーを無事に過ごせました。

さて、乗船のときは、トランクは預けてスタッフの方にのちほどお部屋に届けてもらうので、手荷物のみで乗り込みます。なので荷解きもせず、お部屋を確認したら、まずすぐに行うのは「避難訓練」。

 

飛行機でも離陸前にビデオやしおりなどで機内の安全について確認しますが、クルーズ船では緊急時にまず避難場所に集まるので、自分の避難場所を確認するのです。部屋のドア内側にA・B・C・Dのグループ表記があり、グループごとの指定の避難場所に行ったら、スタッフの方にクルーズIDカードを見せ、確認してもらって避難訓練は終了。もし行くのを忘れている乗客がいれば、あとで呼び出しもあるとか……。簡単な訓練ではありましたが、大事なことだと認識できました。

 

乗船後すぐに乾杯&グルメ満喫で、出航前からもう楽しい!

船はすぐにメルボルンに向け出発するものだとばかり思っていたんですが、約2,000人も乗船する大型客船、出航時間の18時半まで数回に乗船時間が分けられているそう。まだまだ時間があるので、初めてのクルーズ船を探検……と船内を歩き回ると、すでにレストランでお酒や食事を楽しんでいる人たちを発見! 早い乗船時間のときは、船内でのランチを目当てにお昼を抜いてくるのは常連客の間ではテッパンのようで、早速、クルーズ旅の楽しみ方をひとつ発見。美味しそうな匂いにたまらず、ランチのカレーが美味しいと有名な、英国風パブ「ゴールデン・ライオン」に入りました。

 

サフランライスもナンものったチキンティッカマサラと、キュナード・ラインのオリジナルビール・レッドIPAで乾杯! 柔らかくほぐれるお肉とマイルドな辛さが美味しい。キュナード・ラインのクルーズツアーは一部のレストラン、サービスを除いて、基本的な食事代や施設使用料が込みになっているので、食事に関して言えば1食でも多く味わえたら、つまりお得ということ……! なんだかすでにクルーズ旅にハマりそうな予感がしました。

 

そして、出航時間が近くなるとプールのある最後尾のデッキに次々と人々が集まり、いまかいまかと待ち構えます。出航パーティ気分でシャンパンをオーダーし、シドニーといえばのオペラハウスを眺めながら酔いしれました。食事代はツアー料金に込みなのですが、お酒などの飲み物は別。会計は乗船前に登録したクレジットカードに請求されるので、クルーズカードさえ持っていれば、食事や買い物のためにお財布を持ち歩く必要はなし!これもクルーズ旅の魅力なんです。

 

ちなみにデッキにはプールのほかに、アート作品みたいな大きなチェス盤があったり、英国らしくクリケット場があったり、卓球台があったりとアクティビティもたくさんあり、ツアー中に家族連れで来ている子供たちが楽しむ様子を何度も見かけました。デッキは洋上の上であることを一番感じられる場所だったので、ツアー中なにかとこちらに立ち寄り、クルーズ気分を満喫したものでした。

 

夕食時間以降のドレスコードは楽しんだもの勝ち!?

 

クイーン・エリザベスはクルーズ黄金時代の伝統や格式を受け継いでいる客船なので、夕方以降の時間はドレスコードが設定されています。「スマート・アタイアー」と呼ばれるフォーマルほどではないがかしこまったワンピースなどの服装の日と、「ガラ・イブニング」と呼ばれる完全にフォーマルな日があり、日本ではあまりなじみのない文化なので、いろいろ準備しつつもドキドキしていました。が、夕食のために一度部屋に戻りドレスアップするというのが、じつはすごく楽しかった! ドレスに着替えてヒールを履き、アクセもメイクも合わせてめかしこんでフロアに降りれば、乗客たちがみな華やかなドレスやタキシードに身を包み、笑顔もキラキラ輝いて見えます。船内の雰囲気はガラっと変わり、さらに優雅な時間が流れ、みんなでクイーン・エリザベスの特別な夜を盛り上げて楽しもうという、そんな気持ちがひとつになっているように感じました。もちろん、ドレスアップせずに過ごせるエリアもあるので、固く考えずに過ごせます。

 

ドレスアップしてのディナーは「ブリタニア・レストラン」というメインダイニングにて、ラムステーキにワインなどいただきました。こちらは毎日メニューが変わり、前菜やスープ、メイン、デザートから好きなものをひとつずつ選んでコースにしてもいいし、お腹の具合にあわせてメインはナシにしたりと、好きなように選べるのが嬉しかった!

 

食事のあとも、せっかくのドレスアップでまだ飲みたいな…という気分だったので「ミッドシップス・バー」というバーのカウンターで1杯。こちらはジンのスピリッツの種類が豊富で、バーテンダーさんにスパイシーなテイストのジントニックをつくっていただきました。ジンに浮かせたスターアニスなどのスパイスがおしゃれな雰囲気……。ドレスコードという大人の社交の楽しみを知った夜でした。

 

アールデコ調の船内はエレガンドな雰囲気でまさに“非日常”

ベッドの寝心地がよくてクルーズ船で過ごす初めての朝はすっかり寝坊。大型客船はグラーングラーンと大きく揺れるので酔ってしまうこともあると聞きましたが、慣れるとむしろ揺れているほうがゆりかごのように心地よく眠れるほどでした(笑)。2日目はメルボルンへ向けて終日洋上の航海日だったので、まずは1日目では足りなかった船内探検に繰り出すことに。船内全体は木を用いたデザインのアールデコ様式で、歴史を感じさせるレトロな印象がありつつ洗練された優雅な雰囲気。グランドロビーは3階まで吹き抜けになっており、寄木細工のクイーン・エリザベスのアートと、エリザベス女王の肖像画がありました。

 

そして10階のエレベーターホールには、世界各国の初入港した港でもらった記念品の数々が展示。いま3代目というクイーン・エリザベスの歴史を感じさせます。

 

もうひとつ歴史を感じさせるのが「チャーチルズ・シガー・ラウンジ」。クイーン・エリザベスの顧客であったというチャーチル元英国首相の名を冠したシガー専用ラウンジで、首相の写真が大きく飾られており、なかなか重厚な雰囲気。

 

朝ごはんを抜いていましたが、2日目はぜひ「アフタヌーン・ティー」を体験したいと思っていたので、昼も軽くすませたいと「カフェ・カリンシア」にて、人気だというホットチョコレートをいただきました。チョコレートドリンクにクリーム、マシュマロ、スライスチョコレートを混ぜればなかなかボリュームもあり、大満足。カフェ・カリンシアはドリンクのほか軽食もあり、早朝から夜遅くまで開いているので、小腹がすいたときに使えるスポットでした。

 

伝統の英国式アフタヌーン・ティーはぜひ体験したい!

「クイーンズ・ルーム」で毎日15時から行われるアフタヌーン・ティーは、クイーン・エリザベスきっての人気イベントだそうで、開始前からたくさんの乗客が並んでいました。特徴は、ティースタンドにサンドイッチ、スコーン、ケーキなどが運ばれてくる一般的なアフタヌーン・ティーとは違い、給仕スタッフがプレートからひとつずつサーブしてくれるスタイル。純白の制服とグローブを着用したスタッフがプレートを持って整列する、アフタヌーン・ティー開始を告げるパフォーマンスでは、わっと歓声と拍手が沸き起こりました。

 

サンドイッチ、スコーン、ケーキと回ってくるプレートのなかから次々に選んでサーブしてもらいましたが、さすが英国式というべきスコーン&クロテッドクリーム、ジャムがやっぱり美味しかった……! お昼を軽めにして大正解でした。

 

毎日どこでなんのイベントが行われるかというのは、デイリー・プログラムという冊子に載っています。これは前日夜の清掃の際にベッドに置いていってくれるもので、ちゃんと日本語のものも用意してくれていました。毎日、船内のいろんな場所でさまざまなイベントが行われるので、このプログラムを見て予定を組むのが必須! 朝からエクササイズやダンスレッスンが行われていたり、ダーツ大会やクイズ大会があったり、バンドのステージ演奏に、シアターではスペシャルなショーなど……。クルーズには船を港に停泊させる寄港日と、船内で終日過ごす航海日がありますが、この航海の日が実は一番忙しいかも!? メルボルンへ向け海の上で過ごした2日目は、体験したいイベントを回っていたらあっという間に時間が過ぎていました。

 

夜も遅くまでイベント盛りだくさん!

800人以上収容できるという「ロイヤル・コート・シアター」では、毎夜スペシャルなショーが行われます。このツアーのときはサーカス+アクロバットという芸術の最先端を行くパワフルなパフォーマンスショーや、ライブ演奏が日替わりで行われました。シアターでは日中は映画を見ることもできました。

 

カジノは法律により港に停泊しているときは閉まっており、洋上に出てから開きます。だいたい夜遅くまで開いていて、終始にぎやかな印象でした。カジノエリアから「ロイヤル・アーケード」というショッピングモールに続く階段にある時計台は、ロンドン時計塔ビッグ・ベンの時計を作ったデント社による特注とのこと。ショッピングモールも夜10時頃までは空いていて、ブランド品などのショッピングができました。

 

そして「クイーンズ・ルーム」では大人の社交場らしいダンスナイトが繰り広げられます。老夫婦のカップルが仲むつまじくワルツを踊る様子がとてもうらやましく、今回ダンスは体験できなかった筆者、これを踊るためだけにでももう一度クイーン・エリザベスに乗りたい、と決意してしまうほどでした。

 

 

……と、前編はクルーズ2日目まで。内容が盛りだくさんすぎて前後編になってしまったクルーズ旅レポート、ぜひ後編も合わせて、魅力を知ってもらえたらと思います。

 

 

・クイーン・エリザベス キュナード・ライン

HP:https://www.cunard.com/ja-jp/

 

 

◎協力/キュナード・ライン

 

店舗情報、商品情報は取材時のもので、記事をご覧になったタイミングで変更となっている可能性があります。

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mina 2024年8月号

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STORY of WEEKEND | A literary day with glasses 齋藤飛鳥

  • ◆本とメガネのある暮らし。
  • ◆週末コーデに、「メガネ」を掛け算。
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