自分だけのこだわりを持ち、あるモノを偏愛する女子にクローズアップするこの企画。今回は、私たちの生活にとても身近な存在であるマンホールを愛してやまない風間夏実さんにインタビュー! マンホールに惹かれる理由、旅先で地域に根ざしたデザインに出会う楽しみについて教えてもらいました。
マンホールをきっかけに街のことをもっと知りたくなる。
全国各地で見つけたマンホールの写真をコレクションしている風間さん。ハマるきっかけとなったのは、数年前に東京大神宮の近くを歩いていた時のこと。
「階段を下りていたら夕陽に照らされたマンホールが視界に入り、『なんか可愛い!』って思ったんです。それまで目に留めたこともなかったのですが、インフラとして街に馴染んでいるのに、ただの鉄の塊ではなくアートになっているところが面白いなって気づきました」。
マンホールは、区市町村章や花、木、魚……など、それぞれの地域にまつわるものをモチーフになっているのも見どころ。例えば東京都では、イチョウとソメイヨシノ、ユリカモメがデザインされています。
「マンホールを見ていると、それだけで街のことがわかってくるんです。由来を調べてみると、街の歴史を知るきっかけにもなっています。中にはデザインを公募している地域もあって、地元の小学生が描いたものを見るけると温かい気持ちになりますね」。
漆芸で知られる輪島市の椀と箸がモチーフに。
「輪島出身の友達と朝市へ行った時に見つけました。同じ模様が繰り返されているところがお気に入り。まわりに配置された石も可愛くて、マンホールが大事にされている感じがしますよね(笑)。一緒に見つけた友達の実家が漆塗りの仕事をしていたということもあり、より強く記憶に残っています。」
倉敷市水道局のキャラクター「くらっぴぃ」に注目!
「美しい街並みに惹かれ、ずっと憧れていた倉敷市。約2年前に初めて訪れた時、水道局のオリジナルキャラクター『くらっぴぃ』のマンホールを発見しました。よく見るとけっこう怖い顔をしています(笑)。ちなみに先日、埼玉県上尾市のご当地キャラクター『アッピー』のマンホールも見つけました。」
伊勢神宮の“おかげまいり”をする時の恒例行事
「私は伊勢神宮が好きでこれまでに何度かお参りしているのですが、伊勢市駅を出て外宮へ入る時に最初に出会うこのマンホール見るたびに『ああ、お伊勢さんに来たな』って実感するんです。普通の人はもっと違うポイントでお伊勢さんを感じていると思うんですけど、私の場合はマンホールですね。」
上を向くのも大事だけど下に広がる世界も楽しい!
風間さんのようなマンホールマニアの数は意外と多く、「マンホールサミット」というイベントがたびたび開催されているほど。ならばインターネットやSNS上で全国の珍しいマンホールをチェックすることもできそうだけれど、情報収集を一切しないという点も彼女のこだわりです。
「私は事前にリサーチしてマンホールを探すのではなく、ぷらっと歩いている中での偶然の出会いを大切にしたいタイプ。ちゃんと自分の足で見つけて、思い出とリンクしていることが重要なんです。撮った写真をたまに見返すと、その時の記憶が鮮明に蘇るのもうれしいですね。まだまだ行ったことのない地域がたくさんあるので、未知のマンホールに出会うのがとても楽しみです!」
-Profile-
風間夏実さん(27) @natsumi_kazama
埼玉県出身。現在はフリーランスで広報やライター、モデルやバリスタなど、多岐にわたり活躍中。国内旅行が大好きで、今一番行きたい場所は五島列島。カフェやレストラン、居酒屋などにも詳しく、Instagramで発信中の「#なつモグ」にもファンが多い。
◎撮影/安川結子 ◎取材&文/大場桃果