永く愛され続ける「いいもの」には、それを裏付けるストーリーがあります。今回掘り下げるのは、ガラスを使わないステンレス製のボトルの先駆けである<スタンレーの真空ボトル>です。
創業時から変わらない頑丈で使いやすい真空ボトル
ホワイトやマットブラックなどの定番色から、ブランドを代表するアイコニックなハンマートーングリーン、日本限定色まで豊富な色展開。
(右から)0.37L 5,170円、0.47L 6,050円/ドウシシャ
創業110年の歴史を持つスタンレーは、真空ボトルを製造するアメリカのブランドです。1913年に同ブランドを誕生させたのは、利用する場所に応じた電圧に変えるための変圧器の原型を生み出したことでも知られる、発明家でありエンジニアのウィリアム・スタンレーJr.氏でした。
当時の真空断熱ボトルの内側はガラス製で、破損しやすいうえにとても高価だったそう。頑丈で日常的に使いやすいものをつくりたいと考えたウィリアム氏は、変圧器の開発中に得た理論を応用し、ガラスを使わないステンレス製のボトルを発明しました。
2層のステンレスの間に真空状態をつくり出すという独自の技術により、頑丈なボトルが完成。その耐久性の高さは、一度買えば孫の代まで使えると言われたほど。たちまちアメリカ国内で人気を博し、大勢がスポーツやレジャーのお供に、同ブランドの真空ボトルを活用したそうです。
扱いやすい広口のボトル
広い飲み口は洗いやすく乾きやすい。0.47Lには、中に入れた飲み物が勢いよく出てくるのを防ぐ中蓋つき。
引っ掛けるのに便利なフィンガーループ
指やフックを通せるループつきの蓋。ループは使用時、手に取りやすいだけでなく、保管時にも重宝する。
2009年からはチャコールパウダーの使用を止め、外側の鋼壁を厚くすることで、保温性や耐久性はそのままにボトルの軽量化を実現。その後も改良や開発を重ね、現在ではマグやタンブラーなどさまざまなシーンに適応する商品を揃えています。多くの特許技術によって製品を開発している点も、発明家が手掛けたブランドならでは。
アウトドアブームやサステナビリティへの関心の高まりなどから、マグボトルの選択肢が増えた昨今。より満足度の高い製品を開発し続けるその姿勢が、本格志向な人に支持され続けるゆえんです。
ドウシシャ
☎0120-104-481
◎撮影/志田裕也 ◎取材&文/名和里穂
mina2023年10月号より
価格は税込です。店舗情報、商品情報は取材時のもので、記事をご覧になったタイミングで変更となっている可能性があります。