お詫びと訂正
mina12月号(10/20売)
【詩と歩く、週末さんぽ。】企画の一部に誤りがありました。正しくは以下の通りです。
読者ならびに、関係者の皆様にご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げますとともに、ここに訂正させていただきます。
きみを見るように
文月 悠光
きみを見るように窓を見る。
古いかさぶたが風にめくれてる。
ふしぎだ、わたしは何も失っていない。
きみを思う気持ちは
変わらずにまだここにある。
身勝手で幼いわたしたちの恋は、
苦しい時間の方がずっと長かった。
それでも、
きみの記憶の中でわたしが
ちゃんと笑っているといい。
言ったよね。
きみを思うと、心があたたかくて
わたしは何度も救われたこと。
きみはわたしの窓だった。
そこに立つ度、思い出す。
ひなたも すきま風も覚えてる。
きみという窓に別れを告げて
わたしはカーテンを引いた。
背を向けたはずなのに
冷たい壁になりきれなくて
今も 風に空々しく舞っている。
文月悠光
詩人。1991年生まれ。高校3年のときに発表した第1詩集『適切な世界の適切ならざる私』(ちくま文庫)で中原中也賞を最年少受賞。6年ぶりの新詩集『パラレルワールドのようなもの』(思潮社)が絶賛発売中。