ロングセラーの理由を紐解く「名品セレクション」連載より、今月のいいものを紹介します。
ドクターマーチンのエイドリアン
反骨精神の象徴からストリートの定番へ新たな時を刻む
1960年、ブランドの誕生と同時に発売されたマーチンの8ホールブーツは、その丈夫さ、軽さ、手ごろな価格から、発売当時、労働者階級に人気を博していました。その後、若者の間に次々生まれたモッズ、パンク、スキンズといったカウンターカルチャーの流行とともに、このブーツが彼らのファッションに欠かせない存在になっていったことは令和のmina女子にも周知の事実。そんなマーチンがローファーを発売したのは創業から20年後。’70年代にジャマイカ発祥の音楽、スカやツートーンが流行したことをきっかけに、’60年代に流行した同じジャマイカ発祥のルードボーイファッションがリバイバル。そこで、彼らのトレードマークだったタッセルローファーに、マーチンの代名詞であるラバーソールを組み合わせ、このエイドリアンが誕生しました。発端となったカルチャーはすたれても、ストリートの定番として新たな時を刻んでいます。
DETAIL CHECK
(左) ダブルタッセルとキルトタンの存在感
(右) 疲れ知らずのエアクッションソール
ドレッシーな見た目と柔らかな履き心地
品格のあるアッパーとストリート感のあるアウトソールで、黒のほか、ボルドー系のチェリーレッドも人気。24,200円/ドクターマーチン・エアウエア ジャパン
アニエスべーのカーディガンプレッ ション
40年の時を越え上質でシンプルな普段着が支持される
羽織りにトップスに、1枚あると便利なアニエスべーのカーディガンプレッション。デザイナーであるアニエスが、ある暑い日に、お気に入りのスウェットシャツの前中心をはさみで切り、スナップボタンをつけて羽織ったことが誕生のきっかけというのは有名なエピソードです。ニット素材が当たり前のカーディガンをスウェット素材で作るなんて、当時はきっと革新的だったろうと想像するけれど、それよりすごいのは、誕生から40年以上たってなお、私たちのワードローブの定番として支持されていること。フランスの女優、シャルロットゲンズブールがまだ高校生だった’80年代の映画のなかで彼女が着ているのがこのカーディガン。その着こなしが今でも色褪せないのは、時代も世代も超越した普遍性を持っているからにほかなりません。流行を嫌い、ファッショナブルなものはすぐにファッショナブルでなくなると断言するアニエスべーの真髄を体現するアイコニックなアイテムです。
DETAIL CHECK
(左) 狭い間隔で並んだパーリーなボタン
(右) 脇のアジャスターで身幅を調節できる
(下) 型崩れしにくい適度な厚みの裏起毛地
ボタンを開けても閉めてもさまになる
ベビー用、メンズ用のほか、Vネック、ポケット付きなどさまざまなタイプが登場。16,500円/アニエスベー
SHOP LIST
アニエスベー ☎03-6229-5800
ドクターマーチン・エアウエア ジャパン ☎03-6746-4860
◎撮影/奥山祐太(Ye) ◎デザイン/橋場友美
2021年mina10月号より