ロングセラーの理由を紐解く「名品セレクション」連載より、今月のいいものを紹介します。
グラミチ パフォーマンスのチャクワラパンツ
春夏にあると嬉しい機能を備えた着心地抜群のクライミングパンツ
スポーティで実用的なウェアを販売するグラミチは、1970年代にアメリカ、カリフォルニア州のロッククライミングをリードしていたマイク・グラハム氏が立ち上げたブランドです。もの作りの面でも才能を発揮したマイク氏は、市販のクライミングウェアでは飽き足らず、オリジナルのディテールを装備したパンツを開発し、1982年にグラミチを誕生させました。なかでも画期的だったのは、片手だけで着脱とサイズ調整ができるウェビングベルトと、股下に施されたひし形のマチ。この特殊なマチをガゼットクロッチと呼び、180度自然な開脚を可能にしました。クライミング中も生地がつっぱることなく足運びがスムーズに。グラミチが開発したこれらのディテールは高く評価され、今ではブランドの枠を越えて、多くのスポーツパンツに採用されています。
そして、クライミングシーンを想定したディテールはそのままに、機能素材を取り入れたり形をブラッシュアップさせたりすることで、都市生活のための快適性とファッション性を追求したのが、このグラミチパフォーマンスという新ライン。デザイナーにF/CE.©の山根敏史氏を迎え、2019年より展開しています。このチャクワラパンツは、今っぽいゆったりとしたテーパードシルエットでありながら、遮熱、接触冷感、吸水速乾、紫外線防止の機能を持つオリジナルの素材が使われていて、炎天下でも涼しく快適な着心地。アウトドアシーンはもちろん、普段使いにもおすすめです。
DETAIL CHECK
(左)アクセントにもなる大きなサイドポケット
サイドに縫い目がなく、前後がひと続きになった大ポケット。中には、細々したものを入れるパッチポケットも装備。
(右)片手でさっと外せるオリジナルのベルト
創業からすべてのパンツに採用されているウェビングベルト。着脱とサイズの調整が片手だけで容易にできて便利。
(下)異素材の切り替えで汗をかく時期も快適
膝裏には肌離れのよいさらりとした生地を施している。汗をかいても乾きやすく、ノンストレスで着用できる。
適度なドレープがありラクなのに品がいい
身体の動きを邪魔しないルーズな形。キャメルのほか、黒とブルーグレーの3色展開。18,700円/INS/インス
エル・エル・ビーンのボート・アンド・トート・バッグ
ガシガシ使える頑丈な作りで70年以上も支持される定番トート
創業110年を超えるアウトドアブランド、エル・エル・ビーン。1912年、熱心なアウトドア愛好家だったレオン・レオンウッド・ビーン氏が、アメリカのメイン州で立ち上げました。狩猟が趣味だったレオン氏は、ハンター用の防水シューズがなかったことから、レザーのアッパーとゴムのボトムを縫い付けるデザインを思いつき、商品化するためにブランドを立ち上げることに。そのとき開発したビーン・ブーツが後に北極探検で採用されたのは有名なエピソードです。レオン氏は狩猟や釣りに出かける度に、開発した製品を使用してテストをし、自身も使い続けたいと感じる商品だけを売ることを徹底していたそう。購入した製品に満足できなかった場合、1年以内であれば返品可能という、今も続く保証制度を設けたことが功を奏して、信頼できるアウトドアブランドとしてその名が広まりました。
さて、mina女子にも愛用者の多い、このキャンバスバッグにも長い歴史があります。最初のモデルが発売されたのはなんと78年前。もともとは氷を運ぶために作られたものでした。電気冷蔵庫がなかった頃、人々は木箱に氷を入れて食材を冷やしていたのだとか。その氷を家まで運ぶバッグとして開発されたため、24オンスのキャンバス地が使われていてとにかく頑丈。たくさん荷物が入るLサイズとMサイズはとくに、キャンプ道具や仕事道具入れ、マザーズバッグや通学バッグとして、多くの人に支持されている名品です。
DETAIL CHECK
(左)昔から受け継がれる縫い終わりの仕様
サイドの縫い目には丈夫なナイロン糸を用いたり、縫い終わりは返し縫いを施したり。職人技が細部に光る。
(右)耐久性を高めるため底マチは二重に
デザインポイントでもある底マチは、布を二重に縫い付けているため、重い荷物を入れても型崩れしづらい。
使うほどに味わいが増すキャンバスバッグの代表格
ミニからXLまで5サイズ、カラーは多数展開。ミニ以外はハンドル長を2サイズから選べます。右の写真はA4のノートPCも収まるMサイズ。(左から)Sサイズ約27×24×13㎝6,490円、Mサイズ約30×33×15㎝7,590円、Lサイズ約38×43×19㎝8,690円/L.L.Beanカスタマーサービスセンター
SHOP LIST
インス ☎ 0120-900-736
L.L.Bean カスタマーサービスセンター ☎ 0422-79-9131
◎撮影/志田裕也 ◎取材&文/名和里穂 ◎デザイン/橋場友美
2022年mina4月号より