お笑いコンビ・空気階段の水川かたまりさん映画初主演作『死に損なった男』が2月21日（金）に全国公開される。本作は“死に損なった男”が幽霊から殺しの依頼を受けるという、予測不能な怪談噺。主演を務めた水川かたまりさんに、作品についてインタビュー。また、オフの過ごし方も伺いました。
−−作品の見どころを教えてください。
最初にこの映画『死に損なった男』の主演のお話をいただいたときは、タチの悪いドッキリだと思っていました。でも、いざ台本を渡されて読んでみたら、ドッキリにしては面白すぎる内容だったんです。初日に現場に行ったら、明らかにバラエティ番組とは違う大がかりな機材とスタッフさんたちがいて、やっと嘘ではないことを実感しました。その時に、〝こんなことがあるんだな〞とあらためて驚きましたね。
僕が演じる一平は、普段のお仕事でもよく接する構成作家の役だったのでイメージはしやすかったですね。ただ、ラジオ『空気階段の踊り場』の構成作家である“せお„は、吉野家で牛丼を食べ終えたあと食器を厨房まで持って行ったり、イラっとしたらグループLINEに暴言を吐いて勝手に退会したりとかなり挙動不審なので、参考にはなりませんでした（笑）。
一平は、傍から見たら構成作家として成功はしているんですが、最初にお笑いの作家をやりたいと思ったときの感覚からずれていることを思い詰め、死を考えるんです。今作はそこから物語が始まるのですが、僕も死までは考えないにしても、10年以上ネタづくりをしていると、どうしても自分に対してのハードルがあがり、ジレンマが生じてしまうので、共感しながら演じていました。
一平は森口というぶっ飛んだ幽霊と出会い、とんでもない依頼をされるのと同時に、一緒にネタづくりもしていきます。実際に森口のように面倒なおじさんに憑りつかれるのは絶対に嫌ですが、話の通じるおじさんだったら、僕も歓迎したいですね（笑）。
今作は見終わった後に、肩の力が抜けるような作品になっています。映画は今、2時間くらいで2,000円。今作はマッサージよりもはるかに安く、肩の力をほぐしてくれるので、ぜひ観てもらえたら嬉しいです。
−−気になるかたまりさんの”オフ”について。オフはどのように過ごされてますか。
昨年子どもが生まれ、生活がガラッと変わりました。それまでは、赤ちゃんを目の前にすると「どうしましたか〜!?」と高い声で話す大人を見て、〝なぜみんな同じトーンで喋るんだろう？〞と不思議に思っていたんです。でも、いざ僕も赤ちゃんを目の前にしたら、まったく同じ高いトーンで話していて、これは抗えない自然現象なんだということに気づきました。それに、子どもが生まれる前から、相方の鈴木もぐらがたまにやる新生児の泣き真似が大好きだったんです。深層心理で僕はずっと、赤ちゃんを求めていたのかもしれません（笑）。
子供が生まれる前、妊娠中の妻はつわりで食べられるものが少なくなっていったんですが、そんななか「冷製パスタなら食べられそう」と言ったのを聞いて、オリーブオイルに塩、マスタードを入れたシンプルな冷製パスタをつくったらものすごく喜んで食べてくれたんですよね。気分をよくした僕はそれを機に、フルーツトマトと生ハムのパスタに桃を入れてみたり、トマトベースにツナマヨと一味唐辛子を入れて冷たいアラビアータにしてみたりと、〝おしゃれパスタ〞をつくって楽しんでいます。
もともとカレーをつくるのも大好きで、将来の夢はカレー屋を開くこと。以前、ものすごく美味しいカレーができたので、ラジオの収録中にもぐらに食べてもらおうとしたら、長時間にわたって食べない理由を述べ、意地でも食べてくれなかったんですよ。そのときのあまりにも頑固な態度に「食えよ！ 」と腹が立ったので、今後どんなに美味しい冷製パスタが出来ようとも、もぐらには絶対食べさせません（笑）！
そう思うと、美味しいものができたら基本的に〝食べさせたい〞と思うタイプなのかもしれません。笑いに対しては、ウケたら自分が気持ちがいいという理由だけですが、笑うことは健康にもいいので、医療業界の方がドッグセラピーのような感覚で奉仕活動として僕らを求めてくれるのであれば、喜んでやらせていただきたいですね（笑）。
PROFILE
みずかわ・かたまり／岡山県出身。お笑いコンビ、空気階段を2012年に結成。2021年に『キングオブコント』優勝。俳優としても活躍し、『妻、小学生になる』、映画『ウェディング·ハイ』などに出演。人気ラジオ『空気階段の踊り場』は8年目を迎える。
MOVIE
『死に損なった男』
構成作家として活躍する関谷一平（水川かたまり）は、報われない日々に疲弊し死を意識する。駅のホームから飛び降りることを決意するが、隣の駅で人身事故が発生し死に損なってしまう。そこから男の幽霊が見えるようになり、とんでもない依頼をされる。
2 月 21日（金）全国公開
出演：水川かたまり（空気階段）、唐田えりか、喜矢武豊（ゴールデンボンバー）、堀未央奈 ／ 正名僕蔵ほか
配給：クロックワークス
©2024 映画「死に損なった男」製作委員会
◎Photo / Nitta Kimihiko(L MANAGEMENTO) ◎Styling / Iwata Saho ◎Hair & Make-up / Kubo Mariko ◎Text / Yoshida Kana
2025年mina4月号より
記事に掲載されている情報は取材時のもので、記事をご覧になったタイミングで変更となっている可能性があります
