2024.08.20

【BEAMS代表取締役社長 設楽 洋さんインタビュー vol.1】 「BEAMSってどんな会社?」

時代やファッション、カルチャーの中心に立ち、わくわくを提供し続けるBEAMS。1976年の創業から今日まで、セレクトショップの先駆けとして何を大切にしてきたか、トレンドや物事の価値観が多様化する中で支持され続ける“BEAMSらしさ”とは一体何なのか? 代表取締役社長である“たらちゃん”こと設楽 洋さんにたっぷりと聞いてきました。

 

 

 

関わる人みんなで、明るくて楽しい
ライフスタイルと生活文化を生み出したい

ここで働く人、ここに関係する人が幸せになる会社にしようというのが、創業時からの変わらない想いなんです。“Happy Life Solution Communities”を社是に、モノやコトを通じて新しいライフスタイルやカルチャーが生まれるきっかけを提供したいと考えています。現在は“Happy Life Solution Company”と掲げていますが、今後は“Company”を時代の流れに伴い”Communities”に変更しようと考えています。

 

マスの時代から個の時代になり、今は個から集落(コミュニティ)の時代に入っている。昔のように大きなトレンドではなく、特定のジャンルで発生した多くの小さなトレンドに、それぞれファンがついてコミュニティ化しているのが現在の主流。マス層を追うより、濃い同好の志をどれだけ集められるかが大事になってきている気がしています。

 

従来のように、ショップ→お客様という一方通行の形ではなく、社員と取引先、そしてお客様という同好の志が集まるコミュニティ=BEAMSであるべきだと感じたんです。関わる人みんなで、明るくて楽しい社会現象を起こそう、ということですね。

 

 

「この指止まれ」で仲間を呼び込める
個性揃いのスター集団をめざしたい

BEAMSの原点である”American Life Shop BEAMS”をスタートした当時、流通の王様は百貨店で、そこに行けばなんでも手に入りました。対してセレクトショップというのは、オーナーが趣味で集めたものが並ぶ十貨店。趣味の合う人、好きな人だけ「この指止まれ」という業態だったんですね。その当時のまま規模が大きくなっただけで、今もそのスタンスは変わっていません。

 

店頭にはスーツでビシッとキメたスタッフもいれば、Tシャツに短パン、サンダルのスタッフだっている。様々なスタイルのスタッフが1つの店舗内にいて、この人みたいな格好がしたい、こんなライフスタイルを送ってみたいというお客様がファンとなり、それぞれのコミュニティを築いていくという感じ。原宿だけで8店舗も出店しているのはそれが理由。

 

ひとつひとつは小さなコミュニティかもしれないけれど、同好の志の集まりがいくつもある。個の力で人を集められるスタッフが揃ったスター集団でありたいと思っています。

 

 

新しい挑戦や面白い企画の実現は、
社員みんなの熱気があってこそ

レディースを展開する時も初めて地方に出店する時も、最初は多くの反対意見がありました。子供服をスタートさせるのにも20年以上かかっています。うちの場合、社員のやる気や熱気が1番大事で。どれだけ面白い企画も、現場の人間がわくわくしていないと成功しないんです。

 

わくわくすることをわくわくする仲間でやろうっていうのがポリシーですから、みんなの気持ちが高まるまで時を待ったり、時間をかけて説得したりします。彼らのモチベーションをデザインすることがトップの役目ですからね。スタッフがやりたいことを企画書にまとめ、審査の結果グランプリを取れれば事業化するという「TANE.MAKIプロジェクト」も行っています。

 

つくる人と販売する人を分けて考えがちですが、現場にいる人間がこういうものをつくりたいと言えば、すべてじゃないけど形になる。自分の考えたものがお店に届くっていうのはすごくテンションの上がることだし、そういった環境づくりも大事にしていますね。

 

 

自分自身もわくわくし続けながら、
社員にもお客様にもオープンマインドでいる

ありがたいことに、BEAMSスタッフは活き活きと働いていると言われることがよくあるのですが、僕の立場で心がけていることがあるとすれば、明るく、オープンマインドでいることかなと思いますね。もちろん社長だからエレベーターでふたりになった時にはスタッフの子は緊張するだろうけど、それでもきっと一般的な会社よりはずっと話しやすい。

 

社長室はフロアの手前側につくり、商談などがない時は扉を開けたままにしているんです。お客さんには挨拶ができるし、スタッフも気軽に話をしに来てくれる。飛び込みで企画案を持ってくるスタッフもいて、「BEAMS BOY」や「BEAMS HARAJUKU ANNEX」などはそういったスタッフの提案から生まれたんですよ。お客様とのコミュニティを濃くするために、できることがないかも日々考えていますね。

 

「BEAMS BOY」や「BEAMS PLUS」では、一部の顧客様に企画会議に参加してもらったりもするんです。例えばソックスの色決めの際に意見をいただくだけでも、ものづくりの過程に携わってもらうことで、ますます濃い関係になりますよね。今後はほかの部門にも広げて、こういった取り組みをより深めていきたいです。

 

 

日本の魅力をもっと海外に広めて、
新たなカルチャーの誕生を見てみたい

時代が変わる瞬間みたいなものが好きで、その現場に立ち会いたいという気持ちがあります。「今、70年代風のファッション、80年代風の家具、90年代風の髪型だとかいうように、君たちは2020年代“風”のライフスタイルを提案しているんだよ」と新入社員をはじめ、スタッフによく話すんです。「10年、20年経った時に振り返ったら、自分たちが提案した時代だったよねというのが分かるよ。自分が提案したものが時代の一部を動かせるかもしれない。そんな面白い商売ほかにないでしょう?」とも。

 

48年間やってきたことを、これからはよりグローバルに展開していきたい。今の日本は経済的にも政治的にも弱っているけれど、やっぱり素晴らしいブランドです。ものづくりであったりおもてなしの文化であったり、感性やキュレーションの技術であったりを集結したものの代表がBEAMSなのだという形で、海外にどんどん進出していきたい。異文化と混ざってまた新たなカルチャーや流行が生まれるんじゃないかという期待もあり、それを目の当たりにしたいし、企業としての次なるステップだと考えています。

 

 

PROFILE
設楽 洋

1951年 東京都出身。慶応義塾大学経済学部卒業後、75年に株式会社電通に入社。アメリカのライフスタイルに憧れ、影響を受けた青春時代が原動力となり、BEAMSの創業に参画。76年にBEAMSの原点であるAmerican Life Shop BEAMSを原宿に出店。83年に電通を退社し、88年に株式会社ビームスの代表取締役に。あだ名はたらちゃん。

設楽 洋 Instagram
@taracyan3

 

BEAMS公式HP
https://www.beams.co.jp/

 

◎Photo / wacci ◎Text / Nawa Riho

 

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