男女の性の不条理に切り込んだ衝撃作『先生の白い嘘』が7月5日(金)より、全国劇場にて公開される。主演の奈緒さんに、作品についてインタビュー。またオフの過ごし方も伺いました。
−−作品の見どころを教えてください。
映画『先生の白い嘘』では、主人公の高校教師・原 美鈴を演じさせてもらいました。難しい役ではありましたが、出演のお話を聞いたときは「やる」という選択肢以外、自分の中にはなくて。ただ、撮影が始まったら、美鈴先生に起こる出来事にきっと大きく傷つく瞬間もあるだろうと思っていたので、覚悟だけを握りしめて現場に入りました。
実際、撮影の日々を振り返ると、こんなに苦しい気持ちになったことは今までなかったと思うぐらい、苦しくて。もちろんお芝居ではあるのですが、今も記憶の中に強烈に残っています。
特に、引っ越しをする回想シーンの撮影で暴力を振るわれる場面があるのですが、これが女性にとってどれだけ怖いことなのかを体感した瞬間だったので、撮影が終わってもしばらく震えと涙が止まりませんでした。この出来事がなければ美鈴の人生も違っていたんじゃないかと思うと、本当に辛いです。
苦しい場面の連続でしたが、役者陣ひとりひとりが覚悟を持って作品と向き合い、苦しみを共有していたので、皆さんに救われた部分もありました。ただ、今思うと、(早藤役の)風間俊介さんとはもう少し最初にお話しておいてもよかったのかなーと。早藤という役は大変な役なので、休憩時間など、話しかけていいのか迷ってしまって。最初はお芝居していても本当に怖かった。
でも、最後、ホテルで早藤と美鈴が対峙する場面のとき、風間さんのほうから「ちょっと話してもいい?」と声をかけてくれて。「私、話しかけちゃいけないのかなと思っていて」、「いやいや、僕も思っていたんですよ」なんてやりとりがあり、はじめて穏やかな時間を持つことができました。
私はもともと原作漫画を読んでいたので、映像化したときに原作で描かれていることを正しく伝えられるのかという不安もあったのですが、映画は最後、希望に繋がっていくような作品になっています。あとはこの映画を観た方々がどう受け取ってくださるのか。今は願うような気持ちですね。
−−気になる奈緒さんの“オフ”について。オフはどのように過ごされていますか。
私の休日の息抜きといったら編み物。携わる作品によって、どれくらいオフの時間が取れるか変わるので、リフレッシュの方法も変わってきます。今は舞台(『Medicine メディスン』)の稽古中で(取材は4月)、比較的、自分の時間を確保できるので、ルーティン化してできることをやろうと思い、編み物を始めました。
最初につくったのは巾着袋。私はいただいたプレゼントなどのリボンも全部取っておくほうで、それも使って巾着袋をつくり、薬やサプリメントを入れて持ち歩いています。周りからは、「おばあちゃんみたい」と言われるんですけど(笑)。
今はスマートフォンを入れられる斜め掛けのバッグを制作中。まず4枚モチーフをつくり、それを合わせれば完成。夏でも使えるように、糸は毛糸ではなく、麻っぽいものにしてみました。舞台の稽古場の近くに手芸屋さんがあるので、稽古の帰りに立ち寄り、毛糸など、材料をあれこれ探す時間も楽しくて。色の組み合わせなどを考えながらワクワクしちゃいます。
基本の編み方は、わかりやすく解説してくれているYouTube動画を参考に。本当は最初に基礎練習をしっかりやったほうがいいと思うのですが、せっかちな性格なので、目標がないと続かなくて。“これをつくる”というゴールがあれば達成感も感じられるし、実際に使えるので一挙両得かなって。
今日はあまりパワーがないなってときは、エコたわしを黙々と編む。エコたわしは洗剤ナシでもけっこう汚れが落ちて重宝しますし、正直、たわしなので失敗してしまってもOK(笑)。そういう無心になれる時間がリフレッシュになるんですよね。
普段、どうしてもいろいろなことを考えてしまい、脳がオーバーヒートしちゃうので、意識的に休む時間をつくるのも大事。余計なことを考えずに没頭できる編み物は、脳を休めるのにもうってつけなんです。
PROFILE
なお●1995年2月10日生まれ、福岡県出身。現在、出演映画『陰陽師0』、『告白 コンフェッション』公開中、WOWOW『演じ屋 Re:act』放送・配信中。映画『傲慢と善良』の公開(9月27日~)も控える。
MOVIE
『先生の白い嘘』
女であることの不平等さを感じながら生きる高校教師の美鈴は生徒の新妻から性の悩みを打ち明けられ、思わず本音を漏らす。そんな美鈴に新妻は惹かれていくが……。男女の性の不条理さに切り込んだ同名漫画を禁断の映像化。
7月5日(金)全国劇場&3面ライブスクリーンにてロードショー
出演:奈緒、猪狩蒼弥、三吉彩花、風間俊介ほか
配給:松竹ODS事業室 / イノベーション推進部
©2024「先生の白い嘘」製作委員会
©鳥飼茜/講談社
シャツ 93,500円/MSGM(アオイ) イヤカフ 374,000円/oeau(Harumi Showroom)
◎Photo / Tagata Chihiro ◎Styling / Okamoto Junko ◎Hair & Make-up / Takeshita Ayumi ◎Text / Sekikawa Naoko
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