オーナーのこだわりの詰まった、東京のカルチャーショップにクローズアップ。今回は青山にある、月が輝くロマンティックなライブハウス『月見ル君想フ』をご紹介します。
ライブを観るだけではない、ライブハウスの楽しみ方
コロナ禍で設置した巨大なクレーンカメラ。美しい映像でライブの様子を配信している。
ライブハウスは「音楽に詳しい人が行く場所」というイメージが一般的だと思いますが、青山で20年近くにわたり営業する『月見ル君想フ』は、そんなイメージを覆る親しみやすいライブハウスです。出演するアーティストは、ジャズ、ヒップホップ、エスニックなどを含むオールジャンル。さらにライブに限らず、演劇やダンス公演、ミュージカル、トークショーなど多彩な文化を発信しています。
店長のタカハシさんは、ライブハウスの運営をする以前に自身がバンド活動をする中で、日本のライブハウスはライブを観る以外に足を運ぶ目的がないことを、もったいなく感じていたと言います。そんなある日、バンドのツアーでアメリカへ渡った際に現地のライブハウスを見て、自分が思い描くライブハウスの理想形を見つけました。
「向こうのライブハウスはレストランやバーが会場になっているところが多く、誰でも気軽に音楽を聴くことができる環境だったんです。ライブハウスはライブ専用の空間ではなく、もっと広く捉えていいんだなと感じました」と、タカハシさん。
本格派のフードメニューはライブ前やライブ中に味わえる。名物メニューは魯肉飯。
その後、巡り合わせで『月見ル君想フ』の店長に就任し、ジャンルの垣根を超えて文化を発信する“文化発信拠点”として運営。ライブハウスには珍しい本格的なフードメニューも提供しています。
また、ライブハウスといえばコロナ禍で苦しい立場となったのは記憶に新しいはず。「コロナ禍でオンラインの利便性は実感しましたが、 同時に、 場所に飛び込むことの重要性を改めて感じました。 音楽や人との予想外の出会いが、 自分の世界を広げてくれるんです」。
地下の扉を開くと、未知の音楽や人との新しい出会いが待っている。
ライブハウスを楽しむコツは「自分の好きなアーティストだけではなく、 その日に出演しているすべてのアーティストの音楽を聴いてみること。 また、 同じ会場にいる人に勇気を出して話しかけてみると、 新しい交流が生まれるはずですよ」。
『青山 月見ル君想フ』
住: 東京都港区南青山4-9-1 B1F
営 :スケジュールは公式HPをご確認ください。
HP :moonromantic.com
Instagram:moonromantic_jp
◎撮影&取材&文/稲垣恵美
mina2023年8•9月合併号より
店舗情報、商品情報は取材時のもので、記事をご覧になったタイミングで変更となっている可能性があります。