こんにちは。東京・高円寺にある韓国雑貨店『雑貨屋PKP』の店主です。韓国の作家さんやクリエイティブ事情をお話するこの連載。第4回は、韓国のアーティスト・オシヨンさんについてお話します。
どこか懐かしく、切ない。オシヨンさんのモビール
オシヨンさんは、『ヨリンバラム』(そよ風)というブランドを運営し、作品を制作するアーティスト。天井から吊るすオブジェ「モビール」の作家として注目されています。
オシヨンさんの作品と出合ったのは、ソウルの弘大周辺を歩いているときに、本屋さんやカフェ、雑貨屋さんの窓際でいつもゆらゆら揺れているモビールを見かけたこと。「この独特な形の可愛いモビールは何だろう?」とずっと気になっていましたが、それがオシヨンさんの作品でした。
オシヨンさんの作るモビールは、変わってしまう景色や風景の一瞬を切り取ったような、どこか懐かしく、切ない雰囲気を感じます。
今ではPKPの窓際と自宅に飾っているので、一日中私の日常にはオシヨンさんのモビールがあります。晴れた日は、お日様の光がカラフルなアクリルを通して部屋に映り、その影さえも美しい作品となります。
「自分の絵を動かしたい」という衝動から生まれたモビール」
モビール作家として注目されていますが、彼女の活動は絵を描くことがメイン。そのため、あくまでも自身の描く絵の表現手段のひとつがモビールです。
幼い頃から絵を描くことが大好きだったオシヨンさんは、次第に「こうして絵を描いて暮らせていけたら良いな」と思うようになり、作家としての活動をはじめました。
絵を書き続けるうちに「絵でもっと新しい試みをしてみたい。この絵を動かしてみたらどうなるんだろう?」という思いが強くなり、美大では映像を専攻しました。最初はストップモーションを試してみましたが、絵を動かすための工程がせっかちな性格と合わなかったそう。その際に、使わなくなってしまった絵を切り取って、なんとなく繋げていたら、風を受けた瞬間絵がすぐに動きだして「これだ!」とひらめきました。それがモビールを作るきっかけに繋がったそうです。
コスメから小説まで、さらに幅広く活躍!
最近では、オシヨンさんのイラストがチョ・ウリの小説『얼토당토않고 불가해한 슬픔에 관한 1831일의 보고서』の表紙イラストや、コスメブランド『アロマティカ』とコラボレーションしました。また、韓国で国民的人気の歌手「IU」の自宅で撮影したVlogに、オシヨンさんのモビールが飾ってあったことも話題となりました。さらに、韓国内での展示や個展、ポップアップ、ワークショップも頻繁に行っています。
そして、これから挑戦したいことを尋ねてみると「洋服ブランドと協業して自身のイラストが入った服を作りたい。寝具、カーテンなども作ってみたい」とのこと。個人的な活動としては、自身の個展の準備をしつつ、愛犬のハプミの大きな絵を描いているそうです。オシヨンさんの描いた絵の前でおやつを食べてくつろいでいるハプミを見るのが、とてもしあわせなんだとか。
PKPの窓際で、いつもお客様をお迎えしているオシヨンさんのモビール。いつか店内に作品をたくさん並べて、ポップアップを行うのが私の夢です。
住:東京都杉並区高円寺南4-34-10 グランドコート三上101
営:15:00~20:00
Instagram: zakka_pkp
定休日はInstagramやTwitterでご確認ください
◎構成/稲垣恵美
価格は税込です。店舗情報、商品情報は取材時のもので、記事をご覧になったタイミングで変更となっている可能性があります。