ドラマ『この恋あたためますか』、『コントが始まる』など次々と話題作に出演し、その存在感を印象づけてきた古川琴音さん。次なる挑戦は、なんとブロードウェイミュージカル!
古川:学生時代はずっと演劇部に所属していたので、もともと映像より舞台のほうがなじみがあります。ミュージカルに対しても、漠然とですが憧れはありました。今回、幸運にもオーディションを受けるチャンスをいただけたので、これは受けるしかないと思いました。シンデレラや赤ずきんなど誰もが知っているおとぎ話のキャラクターが、現実的でシビアなことを語るところが、音楽も含めてとてもユーモラスで。物語のハッピーエンドのその後や、人間の深層心理についても描かれていて、私もこの世界に入ってみたいと思いました。
――森の中に現れるのは、シンデレラ、赤ずきん、ジャックと豆の木のジャックやラプンツェルとその関係者たちだ。古川さんはシンデレラ役に抜擢された。
古川:オーディションを受けるときに、キャラクターの服装が好きだったのと、イメージ的に自分に一番合っているなと思ったのは赤ずきんでした。それが自分の予想とは違いシンデレラ役に決まり驚きました。決まってからいろいろな資料を読んでいたら、シンデレラのお話は少女がアイデンティティを確立するまでの物語だということで、私が今まで思っていたプリンセス像とは違っていました。特に舞台の後半では、王子様との結婚後の生活という、現実的な部分が出てくるんです。そこから、より人間らしいキャラクターにしたいという思いが強くなりました。
――本格的なミュージカルは初挑戦。課題は多々あれど、稽古場は学びが多く、濃い毎日を送っているそう。
古川:自分の表現したいことを歌にのせるのが、すごく難しいです。複雑な音楽で、しゃべっているのか歌っているのか、その境界線を縫うようなメロディーなので。自分ひとりで歌うのではなく、いろんな人とのかけ合いをしながら、まさに混沌とした森の中をさまようような感じになっています。ただ、舞台は稽古で0から1にする段階をみんなで作っていけるのが楽しく、充実しています。この経験を通して、本番を終えたときに自分がどう変わっているのかも楽しみで。機会があれば、これからも舞台はやっていきたいです。
――ミュージカルの魅力についても、目を輝かせながら語ってくれた。
古川:会話だけのコミュニケーションを越えたものが、音楽を通して伝わってきますし、想像力も広げてくれます。お客さんがファンタジーに寄りすぎず、描かれる世界を旅することができる。そういう力が、ミュージカルにはあると思っています。
PROFILE
ふるかわ・ことね●1996年10月25日生まれ。神奈川県出身。’18年にデビューし、短編映画『春』で主演を務める。以後、映画『十二人の死にたい子どもたち』『花束みたいな恋をした』、連続テレビ小説『エール』『この恋あたためますか』『コントが始まる』などに出演。
INFORMATION
『INTO THE WOODS』
パン屋を営む夫婦は長い間、子どもを授かれずにいた。その原因である魔女の呪いを解くためには、おとぎ話の主人公が持つ4つのアイテムを手に入れなければならない。二人は意を決して、森の奥深くに足を踏み入れる。
2022年1月11日(火)〜31日(月)日生劇場※11〜12日はプレビュー公演となります、2月6日(日)〜13日(日)梅田芸術劇場メインホール
出演:望海風斗、古川琴音、羽野晶紀、福士誠治、瀧内公美、渡辺大知ほか
◎撮影/川原﨑宣喜 ◎スタイリング/綾部秀美 ◎ヘア&メイク/草場妙子 ◎取材&文/根岸聖子
2022年mina2月号より