人気コミックを実写映画化した『軍艦少年』。荒れた生活を送る主人公のアツい青春と、家族を失った親子の再生を綴った感動の物語だ。
佐藤:原作を読むうち、絶対に演じたいと強く思いました。映画業界って企画が立ち上がってからもさまざまな理由で頓挫するケースが少なくないんですけど、原作を読んだだけでまだ何もしていないのに、この作品を絶対つくりたいという想いが沸きあがったし、『この役はお前じゃなくちゃダメだった』って言われる作品にしたいと思いました。
――演じる海星は父親に対し繊細で複雑な想いを抱きつつ、高校生らしい激情も併せ持つ。佐藤さんはどんなところに魅力を感じたのだろうか。
佐藤:母親を失ったところから物語が始まるのですが、それがきっかけで後戻りできないくらい家族のバランスが崩れていくのがリアルに映ったんです。そんな中、自分の本心すらまだ把握しきれない年齢の海星が、自分の行動に対してちゃんと責任を取ろうとする。そういう芯の強さ、周りの人に対する誠実さが魅力だと思いました。
――海星はケンカが強いという設定なのでハードな殴り合いもあるけれど、決してスタイリッシュなアクションではなく、痛みを感じるような泥くさいシーンになっている。
佐藤:キャスト陣かなり気合い入っていたので、実際に痛いシーンもありました(笑)。蹴りが当たっていたり、砂浜でのアクションでは砂利でザザザッと腕が擦れて、その時に限って衣装が半そでだし(笑)。撮影中は気付かなかったんですけど。アクションってエンタメにおけるひとつの見どころですが、この作品に限っては、海星がケンカすればするほど沼にハマっていく象徴のように描かれるので、あまりすっきりしないんですよね。アツい魂のぶつかり合いの面もありますけど、ちょっと虚しさも含んでいるので、そこが見どころかなと思います。僕、普段キックボクシングをやっているのでアクションシーン自体は好きです。
――福岡出身で幼少期には長崎に住んでいたこともある佐藤さん。軍艦島には親しみがあったのだろうか。
佐藤:軍艦島の存在はもちろん知っていましたが、僕は対馬に住んでいたので行ったことがなかったんですよ。海上から見るとすげー!って感動するんですけど、実際に上陸した時は全く違う意味で圧倒されました。あちこちに人が生活していた跡を感じて、不思議な想いが巡りました。
――最後に見どころを教えてください。
佐藤:人の真心がこもった内容ですし、観た方が新しい一歩を踏み出せるような作品になっています!
PROFILE
さとう・かんた●1996年6月16日生まれ。福岡県出身。2015年より劇団EXILEのメンバーとして活動開始。映画『花束みたいな恋をした』、ドラマ『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』、舞台『演技の代償』など幅広く活躍。
INFORMATION
『軍艦少年』
12月10日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷他にて全国公開
出演:佐藤寛太、加藤雅也ほか
配給:ハピネットファントム・スタジオ
©2021『軍艦少年』製作委員会
ジャケット 241,890円、ニット 73,000円/ともにOAMC(エドストローム オフィス) パンツ参考商品/Acne Studios(Acne Studios Aoyama)
SHOP LIST
エドストローム オフィス ☎︎03-6427-5901
Acne Studios Aoyama ☎︎03-6418-9923
◎撮影/角田 航 ◎スタイリング/平松正啓(Y’s C) ◎ヘア&メイク/KOHEY ◎取材&文/熊谷真由子