2021.12.08

わざわざ行きたい「発見のある本屋」さん〈大阪・toi books〉

訪れると、必ずと言って良いほど、新たな出会いや発見がある本屋さん。今回は大阪にあるtoi booksさんを紹介します。他の店にはない、棚づくりや選書のこだわりに注目です。

 

 

〈発見その1〉答えだけでなく本が「問い」を与えてくれる

 大阪の思い入れのある本屋が相次いで閉店したことをきっかけに、この街に本屋を残すため、自分にできることを考え始めたという店主の磯上さん。
「辿り着いた答えが、自分で本屋を始めるということでした。本について、本屋について、自分自身が問い、考え続ける場所を一から作ることにも意味はあるんじゃないかと思いました」

 

 そんな磯上さんの想いは、お店の屋号や選書から感じられます。お店のテーマであり屋号の“toi”は“問い”から付けたそう。
「本を読むと、自分の中にはなかった視点や新しい気づきが見つかったりするものです。またそれをきっかけに、新しい“問い”に出会うことができるのが本の醍醐味のひとつで、その楽しさを来ていただいた人に感じて欲しいと思っています」

 

本を通じて自分自身を問うことができるような本がtoi booksの棚には並んでいます。

 

 

▶︎新たな「問い」が見つかるかもしれない本3選

〈左〉早助よう子『ジョン』(私家版)
「予測不能の書きぶりが楽しい小説たち。“こうなるだろう”という物語の定石から離れていくことで私たちの“常識”は崩れさり、現実社会が抱える問題がごろごろと転がりだす。凝り固まった考えを解いて、気づきをくれる一冊」

 

〈中〉香山哲『ベルリンうわのそら』(イースト・プレス)
「自らの暮らしと共に、同じ世界を並走する人たちのことを想い慈しみながら丁寧に描き出されたコミックエッセイ。自分にとって、そして誰かにとってもより生きやすい世界を求める健やかさは、大切な問いかけに満ちている」

 

〈右〉北村紗衣『お砂糖とスパイスと爆発的な何か 不真面目な批評家によるフェミニスト批評入門』(書肆侃侃房)
「軽やかな語り口で小説や映画、舞台などの様々な作品を、フェミニズムの視点から読み解いてくれる。読めば読むほど見方/味方が増えるような一冊で、自分の中に作られていた考え方の枠組みを問いなおすきっかけにもなるはず」

 

 

〈発見その2〉新たな本を見つけやすい棚づくり

 小分けになっていたり、キーワードの書かれた木のブロックが置いてあったりと、特徴的な本棚。それは本屋さんに通い慣れていない人が、自分の求めている本や、気になった本を気軽に探し出すことができるようにという工夫から。

 

「棚幅を狭いものにした理由は、ひとつのブロックの本の量を少なくし、圧迫感を減らすため。更に本よりも前にキーワードが書かれた木のブロックを置くことで、先にそちらが目に入るようにしています。普段、本を読み慣れていない方や興味がない方でも、一行のキーワードなら抵抗なく読みやすいし、たくさんの意味を含んだキーワードを見て気になってもらえたらそこに並ぶ本を見てもらえると思いました」

 

 木のブロックには、「気になるちがい」、や「記憶はどこにある」など、明確な分類ではなく、振れ幅が広い言葉が書かれています。

ちなみに、「近くて遠い、そんな関係」には家族の物語が入っていたりと、思わず「なるほど」と言いたくなる仕分けが。そのテーマの意図が知りたくなったらぜひ実際に足を運んでみてください。

 

 

〈発見その3〉手作りの栞と名刺に店主おすすめの本が

 書店に訪れる楽しみのひとつとも言える栞。オリジナリティが溢れる栞や磯上さんの名刺にも、お客さんと本が新しい出会いをするための仕掛けが。

 

「本屋は、色々な本と出会うきっかけがある場所だと思っています。なので、店の延長にある栞や名刺にも、そういったきっかけがあると面白いのではないかと考えました。このびっしりと敷き詰められている文字は、自分が気に入っている作家と作品、そしてその感想を綴ったもの。ここから新たな出会いを見つけてくれたら嬉しいです」

 

 手に触れるもの全てから新しい出会いや発見がある本屋さんそれがtoi booksの魅力なのです。

 

 

本屋さんとは、自分の外側に触れられるきっかけの場所

「本屋は感情や知識など、自分の外側を作っているものに触れたり考えたりするきっかけが、本としてたくさん置かれている場所。自分の考えうる範囲は思っているよりも狭いので、その幅を広げられるのが本であり、本屋の仕事のひとつだと思います」

 

自分が考える幅の枠を外してくれる本を、多くの人の手に届けたいというそんな想いが詰まったtoi books。
ぜひ新たな「問い」を求めて訪れてみてはいかがでしょうか?

 

 

SHOP INFO

住所:大阪府大阪市中央区久太郎町3丁目1−22 OSKビル204号室
営業時間:12:00〜19:00
休み:水曜・木曜
HP:https://mailtotoibooks.wixsite.com/toibooks

 

▶︎店主・磯上竜也さん

大阪にあった書店、心斎橋アセンスで7年間勤務。アセンスや他の思い入れのある本屋が立て続けに閉店したことをきっかけに、本屋の立ち上げを決意。2019年にtoi booksをオープン、これまでの経験を活かし文芸書を中心とした選書を行っている。

 

 

MAGAZINE

mina 2025年2・3月合併号

COVER STORY

STORY of WEEKEND
WEEKEND ROUTINE 坂東龍汰&西野七瀬
ふたりの週末は、スキンケアから。

  • ◆ふたりで楽しみながら、冬の乾燥を乗り越える!シェアコスメでスキンケア
  • ◆いいものは一緒に。ふたりで使えるスキンケアコスメ
gototop