2025.03.06

「かるた」を片手に“高知あるある”を体感するローカル旅【週末“非日常”TRIP】

カツオのワラ焼き、坂本龍馬、桂浜……。高知というと思い浮かべる名物はいろいろありますが、その魅力を一番知っているのは、その土地を愛する人たちに違いない。2024年4月から始まった高知県の観光キャンペーンのひとつとして、県内外の高知の魅力を知る人たちから集めた“あるある”をかるたにした「高知かるた」プロジェクトが開始。そんな「高知かるた」のあるあるを体験できるメディアツアーに参加してきました。

 

「高知かるた」とは県内・県外を含め、高知を愛する人たちに広く公募した“高知あるある“ネタを46個厳選し、かるたにしたもの。訪ねるうちに高知の魅力にどっぷりハマったという、東京とローカルをつなぐフリーマガジン「メトロミニッツ」編集長の古川誠氏がプロデュースし、イラストもおしゃれで可愛いかるたに仕上がっています。

読み札には高知の“あるある”な魅力が5・7・5のリズムで書かれており、かるたの裏面にはその魅力の詳細が記され、かるたを通じて高知の魅力を知ることができるんです。高知かるたは県内の道の駅や宿泊施設などに配布される予定だそう。今回は2泊3日で、かるたを片手に “高知あるある”を数個体験しました。

 

 

 

名物「カツオのワラ焼き」は地元の人も大好物!

早速、高知の美食「カツオのワラ焼き」を体験。やってきたのは、約400年前からカツオの一本釣り漁が続く歴史あるまち、久礼地区にある久礼大正町市場の田中鮮魚店。カツオのワラ焼き体験(1名1,500円/ごはん、みそ汁つき)もできる、鮮魚店&食堂です。

 

久礼のカツオがなぜ美味しいかというと、傷がついたり身割れがしない1本釣りならではの身の締りのよさ、船の上で冷凍せず毎日港に水揚げすることによる新鮮さ、そしてとにかくカツオをたくさん扱っているプロの鮮魚店の方々による目利き。美味しいカツオが食べたいがために手間のかかる漁をして、美味しいカツオをたくさん食べているためにこのような見分けができるのだといいます。

 

ワラ焼きを体験しましたが、この地域では強い火力で一気に焦がします。皮面から40秒、ひっくり返して10秒、ワラで豪快に燃え上がる火を前におっかなびっくりでしたが、あっという間に美味しそうなワラ焼きが出来上がりました。

 

新鮮すぎるカツオのワラ焼きは臭みがまったくないので、塩で食べるのが美味しかったです。漁師さんたちは船の上では、醤油だけでなくマヨネーズでも食べるそう。こちらもぜひ今度試してみたい!

 

また、久礼大正町市場近くには久礼八幡宮があり、本殿に飾られている大きなカツオとカツオのたたきの絵馬を見ることができます。本殿を背に鳥居を見ると、鳥居の奥に海がのぞきます。時期によっては海に昇る朝日を眺めることができる絶景のポイントでもあるそう(10月下旬~11月上旬、2月中旬、10日間くらいの限られた期間のみ)。ぜひ一緒に立ち寄りたい場所です。

 

・田中鮮魚店

住所:高知県高岡郡中土佐町久礼6382

URL:https://www.tanakatuo.com/

 

・久礼八幡宮

住所:高知県高岡郡中土佐町久礼6545

 

 

 

近くにあったら毎日通いたい! 雲の上の図書館

「雲の上の図書館」は、まちの9割以上を森林が占め、標高が高く自然に囲まれていることから「雲の上のまち」と呼ばれる梼原(ゆすはら)町に初めてできた町立図書館です。建築家の隈研吾氏が設計しており、入ってすぐに目を奪われるのは森を表現した天井の組み木と棚田をイメージした階段。梼原町産の杉の木がふんだんに使われており、その感触や温かみを楽しめるよう靴を脱ぐスタイルもおもしろい。

 

光もたっぷり入る構造の図書館は、かるたの読み札「寝転んで 本読む心地は 雲の上」のとおり、リラックスして過ごせば、森林に抱かれているような心地よさを味わうことができます。こんな図書館、地元にあったらいいのに! 思う存分ゆったり過ごしたくなる場所でした。

 

・ゆすはら 雲の上の図書館

住所:高知県高岡郡梼原町梼原1212-2

URL:http://kumonoue-lib.jp/

 

 

 

ボリュームたっぷりの和洋モーニングを旅の朝食に!

高知県は人口1,000人あたりに対する喫茶店の数が日本一だそうで、モーニング文化が盛んな土地。ということで、昭和52年創業の老舗、喫茶デポーでモーニングを味わいました。喫茶デポーでは約50年前にモーニングが始まったそうで、名物のモーニングの特徴は、パンとご飯、味噌汁とコーヒーなど、和洋折衷なメニューがプレートの上に一緒になっているところ。パンとご飯の炭水化物が一緒に出てくるのは、高知では農家など朝が早い人たちが多く、また共働き家庭も多かったことから、昼を兼ねつつ朝に外でしっかりご飯を食べる文化があったからだとか。

かるたの読み札にある「皿鉢(さわち)」というのは、大皿に刺し身も肉も、煮物も甘味も、と美味しいものを盛り合わせる食べ方のことで、宴会好きな高知ならではのスタイル。プレートを皿鉢に見立てて和洋入り交ぜたボリュームたっぷりのモーニングは、朝からエネルギーをしっかり充電でき、たくさん行動したい旅の朝食にぴったりでした。

 

 

・喫茶デポー 京町店

住所:高知県高知市はりまや町1-3-1

URL:https://depot-kochi.com/room/pg173.html

 

 

 

欄干のない沈下橋で“仁淀ブルー”を満喫!

“仁淀ブルー”とは、過去に何度も「水質が最も良好な河川」に選ばれている仁淀川の透明度の高い水のこと。この仁淀ブルーと、絶景を味わえるスポットとして「名越屋沈下橋」に来ました。沈下橋とは橋の上の左右に柵のような欄干がなく、洪水のときに流されることなく橋ごと水中に沈むようにつくられた橋のこと。

地元の人たちの生活道となっており、車が通る際に歩行者が待避できる橋からせり出した待避所がある橋は歩くのにちょっと緊張しますが、柵がないぶん、仁淀ブルーの美しさをダイレクトに味わうことができるんです。

 

 

・名越屋沈下橋

住所:高知県吾川郡いの町勝賀瀬

 

 

 

清流でつくられる土佐和紙の紙漉きを体験!

仁淀川の清らかな水に恵まれたことで、仁淀川沿いのいの町では昔から和紙づくりが盛んでした。そんな土佐の和紙は、日本三大和紙のひとつとして数えられており、いまなお伝統工芸として根付いています。そこで、紙漉き体験ができる道の駅「土佐和紙工芸村」を訪れました。

 

紙漉きははがき、色紙、名刺と選べるのですが、はがきを選択。体験するのは「ため漉き」という方法で、厚めの和紙ができるとのこと。

原料が溶かしてある槽(ふね)から、簀桁(すけた)という道具で紙料を汲み上げ、簀桁を前後左右にゆらして紙を漉きます。水は冷たく、汲み上げた簀桁はけっこう重く……思いのほか大変な作業。これをずっと続けている職人さんたちはさすがだなと思いました。

 

簀桁からはずした和紙は、草花などを飾り、オリジナルのはがきがつくれます。草花のほかにも、カラフルな糸くずや紙吹雪などもありました。

その後、職人さんの手によって機械で水気をしぼり、アイロンのような機械で乾かし…約60分間の体験ではがきが8枚できあがりました。

 

厚みがあり、味のある和紙は温かみがあって可愛い仕上がり。ほかにもこの土佐和紙工芸村くらうどでは、草木染めや機織りなどが体験できるそう。道の駅でもあり、レストランやお土産屋もあるほか、宿泊施設も! 仁淀ブルーとともに体験したいスポットです。

 

 

・土佐和紙工芸村くらうど

住所:高知県吾川郡いの町鹿敷1226

URL:https://www.qraud-kochi.jp/activity/paper/

紙漉き体験(9:00〜16:00、水曜休) 草花入りはがき8枚 800円(約60分)※20名以上の場合は要予約

 

 

 

朝ドラで有名になった植物学者の植物園で癒やしのひととき

 

連続テレビ小説『らんまん』のモデルになった植物学者・牧野富太郎氏は高知県の出身で、高知市の五台山にはその業績をたたえた植物園があります。博士ゆかりの野生植物に園芸植物、その数はなんと3,000種類以上。五台山の起伏や約8haの広さ、自然環境を生かした植物園は、研究施設であるとともに、地元民たちの憩いの場になっているそう。

 

門をくぐってすぐ、土佐の自然を再現した展示からもう圧巻! 植物の名前のプレートが笑っちゃうくらいびっしりあり、こんなにも豊かに植物たちが生育しているのだと気付かされます。

 

眺めのいい広場があったり……。

 

温室ジャングルゾーンの入口のみどりの塔は、まるで映画に出てくる廃墟のようで雰囲気たっぷり。

 

展示館では牧野先生の生涯についての展示や、オリジナル映像作品を上映するシアターもありました。また、牧野先生直筆の植物図(複製)の展示がありましたが、これが緻密で大胆で、まさにアートのよう。

1日中過ごせてしまう、学びと安らぎの場でした。

 

 

・牧野植物園

住所:高知県高知市五台山4200-6

URL:https://www.makino.or.jp/

 

 

 

土曜市でオーガニック商品を物色!

高知では毎週日曜に開催される、江戸時代から約300年も続く有名な街路市・日曜市があります。でも高知市にはほかにも、月曜と水曜を覗く全曜日に街路市が立ちます。今回は土曜日に池公園で開催される、日本で一番古いとも言われるオーガニックに特化した青空市に行ってみました。

環境に優しい農業をもっと広めたい、という思いではじまったというこの青空市、店舗の登録数は100を超えており、本日は35店舗ほど出店。農薬不使用・無化学肥料で栽培された農産物を中心に、無添加の加工食品から工芸品などなど、さまざまなお店が並んでいました。

 

気になって購入したのは「ハーブ仁淀川」というハーブ園のオリジナル商品・ユーカリボール(500円 ※12月末〜2月末の期間限定商品)。レモンユーカリの葉がたっぷりつまった丸いこのボール、自然のアロマの爽やかな香りが漂います。いまは玄関に吊るして、帰宅時にアロマの香りを吸い込んで癒やされています。

開催される曜日、場所によっていろんな魅力があるという曜日市、全曜日制覇したくなりました。

 

 

・高知オーガニックマーケット

住所:高知県立池公園(高知県高知市池2335

Instagram:https://www.instagram.com/kochi_organic_market/

開催:毎週土曜、8:00〜14:00(7、8月は〜13:00まで)

 

 

 

 いま話題、日本酒以外のクラフトサケを味わう!

かるたに従って、地酒スポットにも行きました。高知は豊富な清流でつくられる日本酒が有名なのですが、今は果物や野菜をつかったクラフトビールや、自社農園で育てたぶどうでつくられるワインなど、日本酒以外のお酒づくりが増えてきているそう。

ここ「TOSACO」も高知県産素材をつかったクラフトビールをつくるブリュワリー。小さなタップスタンドがあり、できたての樽生ビールが味わえます。高知らしい土佐文旦をつかった土佐IPA(Sサイズ 550円)も美味しかったのですが、とくにほかにはない味わいで美味しかったのが「かやの森ヘイジー(Sサイズ 600円)」。かつては絶滅の恐れも叫ばれる木であったかやの木の植林に力を入れている事業者さんが高知にいるそうで、そのかやの実をハーブとしてつかったビールとのこと。苦みは控えめで、心地よく森の香りが口の中に広がり、癒やされるよう。いくらでも飲めてしまうマイルドな味わいでした。

ビールが苦手な人も乾杯できる飲みやすさを意識したビールづくりをおこなっているそうなので、ぜひ一度試してほしいクラフトビールです。

 

・TOSACO

住所:高知県香美市香北町橋川野584-1

URL:https://tosaco-brewing.com/

 

 

 

旅の拠点のホテルでも「高知かるた」を体験!

今回、旅の拠点としてお世話になったのは「OMO7高知 by 星野リゾート」。こちらのホテルでも、高知かるたの“あるある”を体験できるんです。そのひとつがよさこい。OMO7高知 by 星野リゾートでは、毎晩このよさこい踊りのライブを見ることができるんです。

​1FロビーにあるOMOベースの大階段で毎夜21時から30分間おこなわれ、階段状の客席では、宿泊客がよさこいで使用される鳴子を振って大熱狂。ステージで踊るのは、みなさんOMO7高知で働くスタッフさんということで、そのキレッキレの踊りには驚き。

よさこい祭りが開催される夏以外にも、よさこいを体験したいときは、OMO7高知で味わえます​!

 

OMO7高知 by 星野リゾートについてはこちらの記事でも詳しく魅力を伝えているので、ぜひチェックを。

 

 

・OMO7高知 by 星野リゾート

住所:高知県高知市九反田9-15

URL:https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/omo7kochi/

 

 

 

高知を愛する人たちからのおすすめや地元ネタがいっぱいつまった「高知かるた」。数枚分、体験しただけでも、すっかり高知に愛着が湧いてきました。高知かるたは高知県内の道の駅や宿泊施設に設置されるので、ぜひそれを目的に高知を訪れてみてはいかがでしょう。

 

◎協力/どっぷり高知旅キャンペーン推進委員会(事務局:高知県庁観光政策課)

 

 

店舗情報、商品情報は取材時のもので、記事をご覧になったタイミングで変更となっている可能性があります。

 

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