恋、人間関係、キャリア……主人公の10年にわたる恋と人生を描いた『早乙女カナコの場合は』が、3月14日(金)に全国公開。主演を務めた橋本 愛さんに、作品についてインタビュー。また、オフの過ごし方も伺いました。
−−作品の見どころを教えてください。
映画『早乙女カナコの場合は』の原作は柚木麻子さんの小説『早稲女、女、男』。柚木さん特有の軽やかでユニークな文体で、登場人物たちの内面が剥き出しにされていき、人にはあまり見られたくない部分までリアルに書かれているからこそ、自分と登場人物が繋がり、共鳴できる。そこが面白いんですよね。
今回の映画では、男・女とハッキリ境界線を引かず、性はグラデーションであることを前提に意識していました。それでも男社会で足掻く女性と男性の生き様を、現代版にアップデートして描いています。その上で、キャラクターの魅力やリアリティは取りこぼさず、抱える葛藤などは丁寧に、大事に演じたいなと思っていました。
演じた早乙女カナコは、長津田と吉沢というふたりの男性を翻弄している計算高い女性と思われることもあるけれど、内情はもっと泥臭くて、誠実。彼氏を乗り換えるような行為は自分のキャラ的にできないし、心情的にも許せないという不器用な女性なんですよね。でも、そこが人としてすごく魅力的だと思っています。私も、恋愛においてということではないのですが、〝この行動は自分のキャラ的に許されないよな〞といった気持ちは理解できる。10代の頃は特に自分自身と世間のイメージが違いすぎて悩むことも多かったので、カナコに対してはシンパシーを感じます。
また、カナコは出版社の文芸部で働くことを夢見て、大学時代からコツコツと邁進していく。私も数年前、お芝居のレベルを上げたくて、睡眠時間を削りに削って勉強していた時期があったのですが、集中しすぎて視野が狭窄する感じは身に覚えがあるなと思い、共感しながら演じていました(笑)。
監督の矢崎(仁司)さんとは、クランクイン前からいろいろと話し合い、作品をつくり上げていきました。私自身、大学生活の経験がなく、自分の考えが正しいかどうかもわからないし、意見を伝えるのは勇気と気力がいる。それでも言わずに後悔はしたくなかったので、思ったことは提案していった。そういった意味でも、今回の作品はチャレンジの連続だったなと思いますね。
−−気になる橋本さんの”オフ”について。オフはどのように過ごされてますか。
休日の過ごし方は家と外、半々ぐらい。自然が好きなので、出かける場合は緑の多い場所に行くことが多いです。 最近ハマっているのは山の中にある焚き火カフェ。薪をくべて、パチパチと燃える炎を見ながら、のんびりとコーヒーを飲む。あとは、特大マシュマロを焼いて食べたり、駄菓子やカップラーメンも置いてあるので、疑似キャンプ感覚を味わえるのも楽しくて。しかも、無料の足湯があり、最高にリラックスできる場所なんです。
今まで焚き火動画を見たことはありませんでしたが、火ってずっと見ていられるんだなと思って。本当に癒やされますね。そこが気に入りすぎて、いろんな友だちを連れて行きました(笑)。 基本的に休日はひとりで過ごすことが多いので、焚き火カフェ以外にも、山奥にあるカフェに行って、本を読んだり、 勉強をしたり、そういう時間が大好きなんです。
休日、家にいたら、大好きなゲームに没頭。『スプラトゥーン』や『ゼルダの伝説』をひたすらやっています。食事もそこそこに、10 時間ぐらいやっていることも(笑)。実は最近、インテリアに目覚めて、かわいいソファとオットマンを買ったのですが、ゲーム中はずっとそこに鎮座して います。オットマンのある生活なんて人生初なのですが、 部屋のアクセントにもなっています。
あとは仕事用のデスクも購入。これまではダイニングテーブルで仕事をしていましたが、陽の当たる場所にデスクを置き、そこでチャイラテを飲みながら執筆作業をしたりするのが気持ちよくて。照明など、デスク周りのインテリアを考えるのもすごく楽しい。ただ、物が多くなりすぎて余白がなくなると慌てるタイプなので、「ここにこれがあったら素敵」と妄想だけで終わることも。おしゃれなラグも敷きたいけど、掃除を考えたらないほうが楽だよなーとか(笑)。もっと丁寧な暮らしができるようになったら取り入れたいと思います。
PROFILE
はしもと・あい/1996年1月12日生まれ、熊本県出身。近年の出演作に映画『熱のあとに』、ドラマ『新宿野戦病院』など。大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』への出演を控える。俳優業の他、コラムや書評などの連載を持ち、幅広く活躍中。
MOVIE
『早乙女カナコの場合は』
大学生のカナコ(橋本 愛)は脚本家志望の長津田(中川大志)と出会い、付かず離れずの関係を続けていた。そんな折、内定先の出版社の先輩からも好意を寄せられて……。10年にも及ぶラブストーリーを軸に、女性たちの苦悩や希望を描く。
3月 14日(金)全国公開
出演:橋本愛、中川大志、山田杏奈、臼田あさ美、中村 蒼ほか
配給:日活/KDDI
©2015 柚木麻子/祥伝社
©2025「早乙女カナコの場合は」製作委員会
◎Photo / Yamada Sayuri ◎Styling / Shimizu Naomi ◎Hair & Make-up / Ishikawa Hiroko ◎Text/ Sekikawa Naoko
2025年mina4月号より
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