紙大好き!アートブック大好き!なmina編集部が、11月28日―12月1日に開催された『第14回 TOKYO ART BOOK FAIR(TABF)』を訪問。出版社、ギャラリー、アーティストが一堂に集まるこのイベントは、まさにアートブックの祭典。編集者としての毎年の楽しみでもあるのですが、今年は来場者数約22,000人程とか。デジタルの時代になぜ「本」なのか。「紙」なのか。その魅力を肌で体験してきました。
アートブックファンをお迎えするエントランスエリア。
minaにゆかりのある人たちも!
国内外から約 300 組の参加者が集まる『TABF』はアジア最大級。取材に伺ったのは平日だったのですが、入り口からすでに熱気が溢れていました。会場はいくつかのエリアに分かれていて、まずは入り口のエントランスエリアから。
入り口近くで賑わいを見せていたのは、minaのデザイナー・栗原あずささんとそのお友達の三人で出展しているブース。女性らしい柔らかいタッチのイラストとセンスのいいグラフィックは、どこか懐かしさもあり「東京」のアートブックの入り口としてふさわしい。
栗原さんの新作オブジェ。インテリアにぴったりです。
そのまま進むとminaで大変お世話になっている『BEAMS CULTUART』のロゴを発見。ブースにはTOKYO CULTUART by BEAMSをはじめとしたカルチャーを扱うレーベルが集結していました。BEAMSらしいPOPでウィットに富んだアートブック、Tシャツ、雑貨などが目を惹きます。しかも、グラフィックデザイナーの八木幣二郎さんがデザイン・制作した限定ポスターを配布とあって、朝から行列!
よく見るとBEAMS CULTUARTという文字が3DCGで描かれたポスター。
ドイツのアートブックカルチャーに
どっぷりと酔いしれた、夢の空間
B2へ移動してゲストカントリーエリアへ。毎回ひとつの国や地域に焦点を当てて紹介する企画で、今回はドイツをフィーチャー。世界のアートブックを牽引する国なだけに、開催前からめちゃめちゃ楽しみにしていたんです。
まず直行したのが、世界一美しいアートブックを作ると言われている出版社『Steidl』のコーナー。1969 年の創業以来、企画、編集、デザイン、印刷、出版までの工程を自社で行い、とことんディテールまでこだわるものづくりをするその姿勢にリスペクト。会場にはその代表的なビジュアルブック約 1,100 タイトル並んでいて、実際に触れることができました。どの本を見てもうっとりで、本気で「ここで暮らしたい」と思いました。
続いて、ヴァルター・ケーニッヒと兄弟のカスパー・ケーニッヒのふたりが 1968 年に設立した出版社『Verlag der Buchhandlung Walther und Franz König』のコーナーで過去の貴重なアーカイブに触れ、 壁一面に貼られた世界最大規模のアートブックフェア『MISS READ』のポスターに衝撃を受け、5組のキュレターたちがセレクトした『Doitsu Art Buchmark』でドイツの「今のアートブックシーン」に刺激を受け……と、ドイツの文化におけるアートブックの重要さを学ぶという、貴重な体験。
さらに一番奥の『ステファン・マルクス』のコーナーへ。日本でも人気の高いマルクス(もちろん、minaも大ファン!)はインディペンデント出版において重要な存在であり、世界中の人を魅力するアーティスト。今回のTABFではこれまでに手がけた約 90 冊のアーティストブックを一堂に集めた特別な展示が! 自由で、ユーモアがあり、知的でもあり、おしゃれであり……その独特な世界観に没入し、それらをまとめた ZINEもゲットできて、もう大満足!
激アツなZINE’S MATEエリアで
多種多様なアート表現に脱帽!
テンションがあがったところで、ZINE’S MATEエリアへ突入。ここは、個人で活動するアーティストや、小規模な出版社、活動を始めて間もない作家の方々が中心に出展するエリアで、本当にエネルギッシュなんです。「へー、こんな本もあるんだ」「わー、こんな表現もあるんだ」と、そのアート表現の斬新さにいちいち感動。どこか学園祭のようでもあり、フェスのようでもあり、とにかく楽しい! みなさん話しかけると熱く語ってくださって、こういう出会いもアートブックフェアの醍醐味。
minaでも取材させていただいたことがあるonnacodomoさんのブース。独特のコラージュで表現されたアイテムが異彩を放っていました。
中国人のグラフィックとテキスタイルのデザイナーのユニットfried Cakeさん。センスとアイデアに満ちた作品が可愛いすぎるー!
The Goodwillerさんの韓国をテーマにした本。Kカルチャーをオマージュするという目の付けどころがたまりません。
温もりを感じるイラストとグラフィックが目を引くEMI YOKOGOHSIさんの作品。1つ1つミシンで塗ったという手作りのZINEが胸熱。
そのほかも、海外の出版社が並ぶエリア、印刷所や紙の会社のエリア、特別なトークイベント、キッズ向けコンテンツが集まり、託児所も併設された「PLAYGROUND」など、とても1日では回りきれないコンテンツ量。さらに今年は、出展者もお客様も海外の方が多く、ジャンルや国籍も超えた世界中の人が集まるイベントになっていました。
ハードカバーの高級本から手作りのZINE、雑貨、アパレルまで、憧れもあれば親しみもある。「アートブック」の解釈に定義はなく、こんなにさまざまな表現があるのだとあらためて実感。
そして、家に帰ってその日に出会った(ゲットした)ものを並べて、ニヤニヤ。これもまたデジタルでは得られない楽しみのひとつです。
みなさんも機会があれば、ぜひ『アートブックの世界』を体験してください。
公式サイトはこちらから
◎撮影/下田直樹