オーナーのこだわりの詰まった、東京のカルチャーショップにクローズアップ。今回は神楽坂にある、南米の音楽シーンと食文化を堪能できる『大洋レコード』をご紹介します。
いろんな感情に寄り添う自由でユニークな南米音楽
店内に流れる不思議なリズムの音楽、そして壁一面に並ぶCDはまるでアートのよう。コンパクトな空間に個性が詰まった『大洋レコード』は、ブラジル、アルゼンチン音楽を中心とした輸入盤CDショップです。
オーナーの伊藤さんは、学生時代から生粋の音楽ツウ。好きな音楽のルーツを辿るうちに、ブラジルで誕生した「ボサノヴァ」や2000年代に日本で一大ブームとなった「アルゼンチン音響派」と出会い、南米音楽に強く惹かれました。
「生演奏を聴いたときは度肝を抜かれました。日本人的な“バンドはこうあるべき”が全然ないんです。ベースレスだしリズムがふたりいるし、それで新しいグルーヴを生み出していたのですごいなと」。
現代の南米音楽シーンを賑わすシンガーソングライター、デュオなど注目作品がずらり。
ブラジルやアルゼンチン音楽の特徴は、一度聴いたら耳に残るメロディー。音楽性はさまざまで、曲によって癒やし・明るさ・中毒性を持ち、聴く人に鮮烈なインパクトを与えます。
「おもしろいところは、ブラジルではサンバや北東部音楽、アルゼンチンではフォルクローレといった伝統的 なリズムが、ミュージシャンの中に刻まれていること。曲のジャンルに関わらず、彼らの根っこにあるリズムが演奏の中にさりげなく入っているんです」。
伝統的な音楽をリスペクトしながら、アーティスト独自の解釈とアイディアをミックスし、新しい音楽を生み出していくところが南米音楽の魅力なんだとか。『大洋レコード』では主に旬のアーティストの作品を扱うため、最新の音楽シーンを追うことができます。
アルゼンチンの国民的ビール「キルメスビール」(650円)でちょい飲みも楽しもう。
2022年に移店したあとはブラジル産のコーヒーやビール、週末限定で南米の郷土料理も提供し、お客さんの幅が広がったそう。
「コーヒーを飲みながら、気軽に音楽を感じる場所になれば」と、伊藤さん。ときには明るく、ときには優しく。自由な南米音楽は、日々のどんな感情にも寄り添ってくれます。
・大洋レコード
住:東京都新宿区赤城下町10-10
営:11:00〜18:00(土曜14:00〜)
休:水・日曜、祝日
HP :taiyorecord.com
Instagram:itohryosuke
◎撮影&取材&文/稲垣恵美
mina2024年4・5月合併号より
店舗情報、商品情報は取材時のもので、記事をご覧になったタイミングで変更となっている可能性があります。