意外と知らない、韓国のマニアックな隠れ家的スポットを深掘り。今回はソウルにある、70 年代アメリカの田舎の雰囲気が味わえる『OOB』をご紹介します。
つい長居してしまう、細部にこだわりが光るLPバー
入り口にはスピーカーが描かれた看板が置かれ、ビルの2階へ上がると、店内の大きな窓からは南営の街並みを眺めることができる。
"ソウルの玄関口"ソウル駅のお隣、南営(ナミョン)駅から歩くこと5分。古い建物の2階に上がり、ドアを開けると待っているのはアットホームなLPバー『OOB』。
韓国ではいまレコードを聴きながらコーヒーやワインを楽しめるカフェバーが増えているのですが、ここはその先駆けとなったお店のひとつ。1970年代のアメリカの田舎にあったバーからインスピレーションを受けてつくられたんだそう。
カウンターには2台のレコードプレーヤーと、約1,000枚のレコードがズラリと並ぶ。
古着屋さんのような温かみある香りが広がる店内に揃うのは、ヴィンテージ家具と大量のレコード。そして店内に設置されたスピーカーもヴィンテージというこだわりようなんです。1960年代から2000年代まで、ジャンルにかかわらずセレクトされた音楽が流れる店内で日中はコーヒー、夜はアルコールやおつまみを楽しめます。
『OOB』のオーナー・チャンヒョクさんは自身の母親のCDコレクションやアメリカのレコードストアを見ながら、幼い頃から漠然とお店を開きたいと思っていたそう。
おすすめは、トロピカルフルーツの香りが漂うシグネチャーカクテルと焼き芋にアイスがのったデザート。
ある時、そんなふわっと抱いていた夢を一緒に実現してくれる恩人に出会い、後日、南営エリアに偶然立ち寄ったところ、現在お店がある場所が賃貸として出ているのを見てそのまま不動産に連絡し、入居を即決。それまで入念に夢を描いていたからこそ掴むことができたチャンスだったと思わせてくれます。
多くはない予算で図面設計や電気配線、水道、木工などをすべてふたりで手がけたといい、「完璧ではないですが、ひとつひとつにこだわりがたくさん溶け込んでいます。だからこそ、人々は快適で暖かく感じるのだと思います」とチャンヒョクさん。
つい長居してしまう心地よい店内で、ヴィンテージスピーカーから流れる音楽に耳を傾けながら、おすすめデザートとカクテルを召し上がれ。
『OOB』
Instagram:oob_official
◎取材&文/新井穂奈美
mina2023年6月号より
店舗情報、商品情報は取材時のもので、記事をご覧になったタイミングで変更となっている可能性があります。